幼稚で、醜悪で、救いがたい(自分)のための物語

この語り部の言葉には、あまりにも身に覚えがありすぎた。
展開が進むごとに「殺してくれ……」と呻きながら読んでいた。

「俺はすごくて一発逆転できるはずで、そうでなきゃただのクズになる」っていう焦りとか。
ちょっとうまくいった人間関係に舞い上がったりとか。
「あの人のために」とご大層なお題目を掲げて自己実現にのめりこんだり、あげく勝手に人生オシマイな気分になったりとか。

そういう経験は、ある人にはあって。
きっとそういう、凡人にさえなり切れないヤツに刺さる作品なのだと思う。