第3話 ゾンビはじめての友達


「もうご存じかと思いますが、このゾンビタワーはその名の通り、大人気ゾンビ写真集『ゾンビタワー』を発刊しています」


「あ"ぁ"~……」


そうなのだ、ゾンビの中でも何かしら特徴的な部分のあるゾンビや、特殊なゾンビは大人気なのである。

かく言う、主人公(ゾンビ)も腕が長いので、よくナンパやスカウトに会うのだ。


『勝ち組ゾンビ』と言っても過言ではない。

そんな勝ち組ゾンビは、ゲーム業界や映画業界でも引っ張りダコなのである。


「あなたのような素敵なゾンビが、我が社に来てくださって本当に嬉しいです!」


「あ"ぁ"ぁ"……」


「では、まず2階を案内しますね。ゾンビタワーは階級制になっています。上の階に行くほど人気のゾンビさんが働いているという事です」


「あ"~……」


大和撫子がカツカツとヒールを響かせる後ろをベチョベチョとついて行く。

大和撫子に置いていかれまいと急ぐが、いかんせんゾンビ、しかも両手が長くて上手くバランスがとれない。


大和撫子が慌てて気づいてくれたようだ。


「ああっ、すみません。ゆっくり歩きます。気づかず……私ってばダメですね」


「あ"ぁ"ぁ"あ"……」


「ふふっ、謝らないでください。それも大事な個性ですから!皆と違っていても良いんですよ」


「あ"ぁ"……」


「あ、もしかして照れてます?分かるようになってきました。意外と可愛いですよねゾンビさんって」


「あ"~ぁ"ぁ"……」


ゾンビに向かってキラッキラの笑顔を向ける大和撫子の方が、万倍可愛いと思うゾンビなのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゾンビタワーへようこそ! まことまと @makotomato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る