013 いきどまり

世界のまんなかにいたことなんてない


あなたはやさしく、泣き、手を伸ばすが

間にはいつも

断崖

大海

砂漠

鏡 が、あった


伸ばして硝子がらすに当たった指を

わたしが咬んだというのか

鏡にうつる姿は

求めるばかりのわたしだというのか


でておいでとあなたはいう

あなたの中にでておいでと


あなたはいう、

飛んでみせろという、

見えぬ目でかじを取れという


そして砂漠のまんなかで拾う一片の切手は

鏡にうつったわたしのよう


火よ

ことばよ

世界を焼き尽くせ


届けるな

もう

届けるな


わたしのことばは届かない


あなたはわたしの世界ではない


それすらも伝わらぬ

無力なことばよ

わたしの

もろく不揃いな弾丸よ


拒絶せよ

焼き払え

踏み滅ぼせ


砕け散れ 世界よ


そしてあなたは残り

わたしが何者だったか知るだろう。



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/CATACOMBE/ 鍋島小骨 @alphecca_

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