異種族でも家族になれますか?
月見詠
プロローグ 僕はひとりで生きていける気がする
「私たちがお前を育ててあげてるんだから」
そう言われるたびに思うんだ。育てるってなんだろうって。
僕に両親はいない。ものごころついた時には既にマリーおばさんとジョンおじさんの家にいた。
ふたり曰く、僕の両親はすごい有名な旅人だったんだけどこの町の近くの森でモンスターに襲われて死んだらしい。その時たまたま通りかかったジョンおじさんが何とか助けようとしたんだけど、ふたりは有り金全部あげるから僕を育ててくれってお願いしたらしい。有名な旅人だったからお金はありえないほどあったらしいよ。それでジョンおじさんは僕を引き取って、ふたりはその後すぐに息を引き取ったんだって。どこまでホントかわからないけど。
そのお金のおかげで僕の養育費はしぬほどあるはずなのに、「お前のせいで家計が苦しい」だの言ってご飯抜きは良くあるし、生活用品もボロボロの服が2枚だけ。「お前がいなければ…!」って暴力は毎日で、僕の身体はあざと傷だらけ。
でも僕を置いてくれてるしそこに関しては有難いと思ってるから反抗しようと思ったことは無かった。
でもある時思ったんだ。
「お前は俺らがいなければ生きていけないんだよ」
「私たちが育ててあげてるんだから感謝しなさい」
そういいながら暴力を受けて、全身激痛がはしってるけど、そもそも掃除、洗濯、料理、買い物など、この家のほとんど全てのことは僕がやってる。ふたりが僕のためにしてくれることなんてないし、ただこの家に住ませてもらっているだけ。なら、
「僕はこの家にいなくても、ひとりで生きていけるんじゃないか?」
思ったが吉日。
僕は数少ない荷物を小さなポシェットに詰め、ボロボロの靴を履いて、何も言わずにこの家を出て言った。
僕、ハルノが7歳のとある日の事だった。
異種族でも家族になれますか? 月見詠 @tsukimi_ei
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