波打ち際、君と僕と蟹と蟹
ハッタリ
波打ち際、君と僕と蟹と蟹
さりっさりっ
砂浜を歩く音、それに波の音もする。
二人は無言でお互いにペースを合わせてゆっくり波打ち際を進む。
ザザー
5メートルくらい先に二匹の蟹がいた。
カップルだろうか。
それとも友達なのか。
それは彼らに聞かないとわからない。
もしかしたら彼らも僕たち二人の関係を疑問に思っているかもしれない。
それは僕には答えられない。答えは彼女が知っている。
僕が告白をしてから彼女は「歩こう」と言ったっきり何も言わない。僕も何も言わない。無言で歩く。
告白したのが海辺で本当によかったと思う。もし違う場所でしてたら僕はこの沈黙に耐えられなかっただろう。
砂が擦れ合う音、水が擦れ合う音。それが僕の心を落ち着かせてくれる。
さりっさりっ
ザザー
ふと彼女が立ち止まる。
ようやく彼女の答えが決まったのだろう。どちらの答えだとしても僕はそれを受け入れることができる。それくらい僕の心は擦れ合って丸くなってしまっていた。
二匹の蟹は僕らを見ていた。
§§§
私は彼に告白をされた。それはとてもシンプルで分かりやすい言葉だった。
「好きです。付き合ってください。」
私は彼を「歩こう」と誘った。何で誘ったのか。それは多分私が自分の気持ちを彼に言うのが恥ずかしかったからだ。恥ずかしかったから先伸ばしにした。
本当はもう返事は決まっていた。彼に言うべき言葉は告白された瞬間に頭に浮かんだ。
でも先伸ばしにした。
生まれてはじめて告白された私は、もしかしたらこの優越感を噛み締めたかったのかもしれない。ずるい女だ。
こうして歩いてる間、優しい彼は黙ってついてきてくれている。
そろそろ返事をしなければいけない。勇気を振り絞って私の気持ちを彼に伝えなければ。
緊張する。心臓が爆発しそうだ!
二匹の蟹は私達を見ていた。
§§§
「私……」
いよいよだ。僕は彼女から告白の返事を聞くことができる。気持ちは冷静だ。どんな返事でも驚くことはない。
彼女は顔を赤く火照らせて僕の方にに振り向き、手を胸の前で握って恥ずかしそうに上目使いで言った。
「私、実は女の子が好きなの!」
「え?」
「レズなの!」
………
「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇーーーーーーーーーーー!!!!!(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)(`Д´)( ;`Д´)( `д´)(#゚Д゚)(*`Д')(*`Д´*)(; ・`д・´)(o・`Д´・o)!!(ノ`Д´)ノ彡┻━┻(ノ`Д´)ノ彡┻━┻(ノ`Д´)ノ彡┻━┻」
よく見ると蟹は二匹とも卵を抱えていた。
男女のカップルじゃなかった。
波打ち際、君と僕と蟹と蟹 ハッタリ @hashi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます