幸せ探し

部活を決めよう!

「さー、部活動の希望用紙配るぞー」

この時がきてしまった。

隣の席の喜多川きたがわアリス―喜多川さんがささやいてくる。

「ミサキはどこの部活に入るの?」

やはり、こい......いや、喜多川さんも一緒の部活にはいるのか......

「おーい、宮本ぉ。でっかいため息ついて、どうしたんだ?

恋愛相談でもなんでもうけてやるぞ先生は!」

くすくすと笑い声が聞こえた。

この、くそ稲田いなだ......


私は今、毎日がつかれてしまう。

この前までは何事もてきとーにこなしてきたのに......

喜多川さんのせいだ。


喜多川さんに友達になれと半分脅迫され、

昨日のの席替えでなぜか喜多川さんと隣になってしまったのだ。


特にやりたいこともないから帰宅部にしようかと思ったのだが、

帰宅部はこの学校にはないらしい。

くそ……うヴん。


帰り道。

「ミサキはどの部活に入りたい?」

「それ、さっきも言ってなかった?

てか、部活の雰囲気見ないとわかんなくない?」

あきれるわい。

「やっぱり、そうなのね~

明日から一緒に部活見学しに行きましょーよ!」

「……はいはい。」


そして今日。放課後に部活を見学することに。


「じゃあーーーまず、どこから見に行く?」

目をキラキラさせて聞いてくる。

「どこでもいいけど。」

「とりあえず部活見学シートを順番に回ってく?」

「おけ。じゃ、行こうか。」


体育館にて。

「バスケだね!」

「どうみてもそうでしょ。」

軽やかにドリブルをして、シュートを決めていく姿はカッコイイと思った。

だけど、私、運動神経悪いからなぁ......

「楽しそーーーー!」

ぼーっと考えていたら喜多川さんが走ってコートの中へ走っていっているではないか!

「ちょ、喜多川さん!何してんの!」

笑顔でパスカットし、ロングシュート。

「あはっ!やったー!」

私に向かって無邪気にピース。

周りの部員さんたちもぽかん。

はっ、ぼーっとしている場合ではない!

「き、喜多川さんっ!戻ってきて!!!」

「え、なんでよ~、いいとこなのにぃ」

「いいから!」


体育館のすみに喜多川さんを呼ぶ。

「おい。なにしてんの?」

怒りが爆発しそうだ。

「だって……楽しそうだったから」

しょぼーんと音が聞こえてきそうなぐらいの落ち込みっぷり。

流石にこれ以上怒るのはかわいそうなので、

「まぁ、いいけど。だめだよ?迷惑になっちゃうから。」

「はーい。」


次はバドミントン部に見ることにした。

おなじ体育館なのでね。


「私、バドミントンあまりやったことないんだ……」

喜多川さんが言う。

「じゃあ、やってみる?」

バトミントン部の人が私たちにラケットを差し出してくる。

まぁ、部員増やしたいだろうし。

「ありがとうございます。」


まずは喜多川さんがチャレンジ。

「打ち返してみてね〜」

山なりのサーブ。

「よっ」

ひゅん。

鋭いスマッシュ。テレビの選手みたいだ。

試合だったら1点入ってるよね。たぶん。

先輩たちが、みな動きを止めてぽかんとしていた。

そりゃそうだ。

おぉ、すごい。さっすが喜多川さん〜

........おいおいちょっと待て。

こいつ、そんなやったことないって言ってたよね?

「わーいやったー!」

喜多川さんは飛びはねている。

こいつ........


「じゃ、サーブするから打ってみてねー」

「あんな子の友達なんだからきっとこの子も........」

という期待の目。

コートに入って構える。

向かい側の先輩がサーブを打つ。

飛んできたっ!


スカっ


空振り。


「あー。どんまいっ!次はあなたがサーブ打ってみて!」

「はい、すみません……」


左手にシャトルをもち、右手にラケットを持って、ラケットをシャトルに当てた


つもりだった。


勢いよく振ったラケットはシャトルを離さなかった

左手に直撃。


「いったああああああい!!!!!!


体育館に私の叫び声が響いた。

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喜多川さんは幸せがお好きっ! 夜野桜月 @Spi-s-ca

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