第24話




   二四、四国ゴージャスの実態

   

 ドラフト会議が明けて五日後、菊池スカウト本部長が家に挨拶に来た。

 ちなみにドラフト一位の龍馬はドラフト会議翌日の朝一番で荒川球団社長が龍馬の家に訪れた。

 契約金一億円を用意して年俸千二百万を提示されたそうだ。

 

 菊池スカウトは、高橋家に指名挨拶に訪れた。

「やっと、高橋君を指名する事が出来ました。

 高橋君は私の希望です。

 こんな原石は滅多に掘り当てられません。

 素晴らしいセンスの固まりです。

 絶対、一流選手になる素材です。 

 ピッチャーで。」

 陸は、一番知りたかった事を聞いた。

「契約金と年俸は、どれくらい貰えるんですか?」

 義男と小百合は陸の言葉に恥ずかしくなった。

「陸…お金じゃないでしょ」

 菊池スカウトは、少し困った様子で

 「契約金は、支度金二百万。年俸は四百万でいかがでしょう。

 その代わりに来年度より動物を飼育して、その世話を高橋君に手伝って貰おうと思ってるんですよ。

 将来的にも野球を辞めても保証されてると思います。」

 陸も義男も小百合も私も菊池スカウトの言ってる事の意味が理解出来なかった。

 

 翌日、テレビや報道でニュースが流れた。

 四国ゴージャスがサーカス団買収。

 試合終了後にサーカスを観せ、集客アップ計画の計画だ。

 人員削減の為、サーカスの司会と世話は球団職員や選手が行う。

 スタジアムの隣はサーカス小屋を建てる計画だ。

 メインの売りはライオン。

 外野のフェンスをライオンの檻にする考えだ。

「じいちゃん、俺、ライオンの飼育係になるの?」

「そうかも知れない?まぁ…野球をしなが、だと思うがな…」

 ちなみに昨年は、球団でアイドルユニット【ゴージャスガールズ】を作ったが、全て荒川球団社長の面接により、少し年増な女性ユニットで人気は上がらず、挙げ句の果てには、荒川球団社長のお気に入りの子とベテラン選手が駆け落ち不倫、ゴージャスガールズは解散、ベテラン選手は解雇。

 一番怒っているのは荒川球団社長である。

 いまだに、ゴージャスガールズのお気に入りの子のグッズとアイドル生写真を机の上に置いてある。

 散々な結果で終わったが、荒川球団社長は集客を図るために四国ゴージャスの企業努力は頑張っているが、来年も赤字経営なら球団身売りの噂も出ているのでサーカスと龍馬で一発逆転を狙っている。

 陸はさほど期待はされてはいないが…

 周囲は、今回もライオンが檻を壊し、ライオンがスタンドに逃げないか不安の声が出ている…。

 次々と契約が進む中、龍馬も陸も渋々、契約書にサインをした。

 陸は誰にも契約金の金額は言わなかった。

 陸の多少のプライドだろうか…

 翌日、スポーツ新聞に神戸クラッシャーズが華川学園の猿渡を球団職員にして定時制高校に編入との記事があった。

 球団は肘の手術を全面的にサポートして来年、何処の球団にも手を出させないように囲み来年のドラフト一位指名を目指しているのだろう。

 

 

   

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脳ストライク2ボールおじいちゃんと一緒【改正ロング版】 ひーちゃん @akatetsu

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