第2話 こんにちは!アウリオ!
フレイブルク大陸から30分で本当に島が見えてきた。
「姫様島です、そろそろ上陸の準備を」
船長にそう言われてシラユリは頷いた。
涙は枯れ乾いた赤い瞳は泣き仰せたせいで
かなりぼやけて見えていたが、そんなことはシラユリに
とっては大した事ではなかった。
「上陸したら、兵士が待っているのよね?」
その問いかけに、船長が無言で頷く。
大陸に降り立ったシラユリは当たりを見回し動揺した。
兵士一人もいない。
「場所は、本当にここなの?」
船長に確認するも、船長はただ頷くだけで戸惑うシラユリ。
『和平の使者として婚姻を執り行いたいと言ったのはあちらなのに、なぜ誰も迎えに来ていないの? 失礼じゃない?』
そう思い港街を見回せば確かにどことなく寂れている気がした。
「とりあえずありがと、貴方達は帰った方がいいわ、私は平気だから」
そう言いながら鬱向けば
「それはなりません、他国なのです。 姫の御身に何かあっては困ります」
そう言いながら当たりを見回し船長と途方にくれれば馬の嘶きが聞こえ初め地響きが起こる。
「送れてすまない、会議が思いのほか長引いてしまい、来るのに時間がかかった。」
そう言いながら急いで馬を走らせて来る男性にシラユリはゆっくりとイスから起き上がった。
「困ります、国王陛下、時間は守って頂きませんと……」
その言葉に馬から降りながら頷くとシラユリを見つめ優雅にお辞儀をすると
「初めまして麗しのお姫様、我が名はアステル、この国の国王をしている! 遠路はるばるの船旅誠にすまなかった。 さっ、お手を」
そう言いながら立て膝をシラユリの前で着くアステルにシラユリは
瞬きする。
「なんで、こんな、紳士なの? 少なくとも、貴方キャラじゃ」
そう言いながら慌てて顔を赤めるとそっぽを向けば
「おや、よく言われる、さっ、お手を」
その言葉にシラユリはムッとした顔をすると
「手をとるからと言って、好きなわけでも許した訳でもないからね」
そう言いながら手を差し出すとその手をとり抱き上げたので周りから歓声が上がれば
「では、姫様を頼みます」
そう言いながら頷いたのでアステルも無言で頷き返した。
無垢なお姫様は敵国の国王に愛されて リナ @rina9756
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