巻60 二線級の文官
范泰1 後漢書の父の父
范泰、字は
祖父は
父は
范泰は太學博士を初任とし、
また
二軍府で幹部として働いた。
この書きぶりでは、
まるで兼任のようにも見えるが、
どうなんだろう。
ところでこの頃
范泰のおば、
そのつてから、范泰を
当然のように天門郡は荊州に属する。
王忱は荊州で酒浸りの毎日を送っていた。
ひとたび酔えば、十日はそのままの状態。
ただし、酔いから醒めれば
キリッと厳粛なたたずまいとなるのだが。
その様子を見て、范泰は言っている。
「酒が己を解放してくれる、
それは私もわかる。
が、同時に大きく生をも損ねている。
そなたには公私の場で何度となく
言い聞かせてきたはずなのだが、
気付けばまた酒におぼれている。
我が言に、果たしてどれだけの
意味があったのだかな。
もはやこれ以上、私がそなたに
言い聞かせる意味もないのであろう」
それを聞き、ああ、と王忱は落ち込む。
それからしばらくし、顔を上げる。
「私を注意してくれるものは少なくない、
が、あなたほど私のことを
考えてくれるお方なぞ、
そうはおるまい」
まぁ結局飲むんですけどね。
そんな王忱に、質問する者がいた。
「范泰は
「謝邈のほうが傲慢だ」
また質問があった。
「
「殷覬のほうが軽々しい」
いやこう言うのって
より優れたほうの名を
挙げるもんでしょうに……。
王忱さんの人柄が
微妙に透けて見える発言である。
范泰字伯倫,順陽山陰人也。祖汪,晉安北將軍、徐兗二州刺史。父甯,豫章太守。泰初為太學博士,衞將軍謝安、驃騎將軍會稽王道子二府參軍。荊州刺史王忱,泰外弟也,請為天門太守。忱嗜酒,醉輒累旬,及醒,則儼然端肅。泰謂忱曰:「酒雖會性,亦所以傷生。游處以來,常欲有以相戒,當卿沈湎,措言莫由,及今之遇,又無假陳說。」忱嗟嘆久之,曰:「見規者眾矣,未有若此者也。」或問忱曰:「范泰何如謝邈?」忱曰:「茂度慢。」又問:「何如殷覬?」忱曰:「伯通易。」
范泰は字を伯倫、順陽の山陰の人なり。祖は汪、晉の安北將軍、徐兗二州刺史。父は甯、豫章太守。泰は初に太學博士と為り、衞將軍の謝安、驃騎將軍の會稽王の道子の二府の參軍たる。荊州刺史の王忱は泰が外弟なるに、請うて天門太守と為る。忱は酒を嗜み、醉うこと輒ち旬を累ね、醒むるに及び、則ち儼然と端肅す。泰は忱に謂いて曰く:「酒は性に會せると雖ど、亦た生を傷む所以たらん。游處以來、常に以て相い戒むを有せるを欲せど、當に卿は沈湎し、措言に由莫く、今の遇に及び、又た陳說せる假無し」と。忱は嗟嘆すること之を久しうし、曰く:「規者の眾かるを見たれど、未だ此の者が若きは有らざりたるなり」と。或るもの忱に問うて曰く:「范泰は謝邈とで何如?」と。忱は曰く:「茂度が慢たり」と。又た問うらく:「殷覬とでは何如?」と。忱は曰く:「伯通が易なり」と。
(宋書60-1_規箴)
謝邈
謝安の甥(
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