孔靖2 辣腕の会稽内史
受け入れられなかった。
桓玄が倒れたのち、
孔靖を会稽内史に任命。
その任命書簡を手にすると、
夜中にもかかわらず孔靖は舟に乗り、
会稽に出立した。
会稽内史が交代する。
その報せを持って、
孔靖は虞嘯父に告げる。
あわせて別の者には
会稽府の清掃を命じ、
孔靖自身は会稽府入りする。
虞嘯父と言えば、
今や簒奪者によって任じられた長官。
居座っていられるはずもない。
慌て怯え、屋敷の門を開き、
裁きにつくことを承諾した。
孔靖も虞嘯父に対しては慰労し、
安全なところに退避させ、
翌朝には転居させた。
着任早々、孔靖は治安を引き締め、
任務を怠けていたものを処罰。
こうして郡中にしばしば見られた
盗賊などは鳴りを潜め、
郡内は引き締まった。
と言う話が来たが、辞退。
とは言え間もなく侍中とされ、
本國中正となり、
また
その後
このころ呉興では、立て続けに
太守が在任中に死亡していた。
呉興の人たちは、これを
呉興の近所にある卞山にいた
項羽の霊が呉興太守の執務室に
居ついている、と言うのである。
なので配属される二千石の役人、
つまり太守たちは、執務室に寄るのを
嫌がったという。
で、孔靖。執務室に普通に入った。
もちろん死ななかった。つおい。
その後改めて
中央への召喚を受けた。
今度用意されたポストは尚書右僕射。
宰相クラスである。
が、孔靖。固辞。
412 年、つまり
孔靖は会稽周辺の五郡の軍事総督、
會稽內史に任じられた。
官位は征虜将軍である。
会稽にやってきた孔靖は
学校設備を充実させ、
学問を奨励した。
虞嘯父為征東將軍、會稽內史,季恭初求為府司馬,不得。及帝定桓玄,以季恭為內史,使齎封板拜授,正與季恭相值,季恭便回舟夜還。至即叩扉告嘯父,并令掃拂別齋,即便入郡。嘯父本為桓玄所授,聞玄敗,震懼,開門請罪。季恭慰勉,使且安所住,明旦乃移。季恭到任,務存治實,敕止浮華,翦罰遊惰,由是寇盜衰止,境內肅清。徵為右衞將軍,加給事中,不拜。尋除侍中,領本國中正,徙琅邪王大司馬司馬。尋出為吳興太守,加冠軍。先是,吳興頻喪太守,云項羽神為卞山王,居郡聽事,二千石至,常避之,季恭居聽事,竟無害也。遷尚書右僕射,固讓。義熙八年,復督五郡諸軍、征虜、會稽內史。修飾學校,督課誦習。
虞嘯父の征東將軍、會稽內史と為りたるに、季恭は初に府司馬為らんと求めど、得たらず。帝の桓玄を定むに及び、季恭を以て內史と為し、齎封をして板ぜしめ拜授し、正に季恭と相い值わんとせるに、季恭は便ち舟に回りて夜に還ず。至りて即ち扉を叩きて嘯父に告げ、并せ令し別齋を掃拂せしめ、即便に郡に入る。嘯父が本は桓玄に授かる所為れば、玄の敗せるを聞き、震懼し、開門し罪を請う。季恭は慰勉し、且つ安所に住ましめ、明旦に乃ち移す。季恭の任に到れるに、務め治實を存し、敕め浮華を止め、遊惰を翦罰し、是の由にて寇盜は衰止し、境內は肅清さる。徵じ右衞將軍と為り、給事中を加えられど、拜さず。尋いで侍中に除せられ、本國中正を領し、琅邪王大司馬司馬に徙る。尋いで出で吳興太守と為り、冠軍を加う。是の先、吳興は頻りに太守を喪じ、項羽神の卞山王為りて、郡が聽事に居せんと云わらば、二千石の至れるに、常に之は避くらる。季恭の聽事に居せるに、竟には害さる無きなり。尚書右僕射に遷らんとせるも固讓す。義熙八年、復た督五郡諸軍、征虜、會稽內史たる。學校を修飾し、誦習を督課す。
(宋書54-2_政事)
虞嘯父の統治がよっぽどだらしないものだったのでしょうね。それを何とか止めようとしたけど、叶わなかった。なので会稽内史の職位を得た瞬間、もうあいつには任せておけん、と追い出した感じでしょうか。なかなかにエネルギッシュなお方である。そして中央よりの召喚を蹴って会稽郡統治の強化にあたった。それが一通り済んだところで中央に戻った、と言う感じでしょうか。
司馬徳文の副官としての時期に中央でどんなことをしていたのか、とかも気になる所ではありますが、ともあれ呉興では迷信を一笑に伏し、再び会稽に。
しかしそうすると 412 年から 415 年の孔靖統治時代には会稽あたりの統治ってよかっただろうにねえ。なんで
なお、孔靖伝説の残り方には「劉裕にとっての張良」を模したっぽい属性もあるのだとか。この辺りは大平幸代氏の論文「劉裕の北伐をめぐる文学 ー晋宋革命を演出した人とことばー」参照。
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/TD00003269
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