謝裕3 南燕討伐討議
409 年、国内の体制を固めた
外征の計画を練る。
最初のターゲットは、
だがこの提案、皆が反対する。
この提案を聞くと、すぐさま意見を提出。
「
宰相自らに動かれては、
国の根本を揺るがしかねんぞ!」
だがその風潮に反し、謝裕は言う。
あれっ
「劉裕様は
烈武による勲功を立て、
天のお心に基づき、
その業績の偉大さは
論ずるまでもございませんが、
それでもなお、その偉大さを
実感できておらぬ者がおります。
ならば改めて、その武威を
お示しになっておくべきでしょう。
なにせ
国境付近に忍び寄り、
民の寇略に励んでおります。
かの者を討ち滅ぼし、
被害に遭った民らを弔う事で、
劉裕様、ひいては陛下のご威光は
さらに高まりましょう。
鮮卑を取り除いたのち、
兵らには休息を与えて牙を磨かせ、
しかる後に
修復して参りましょう。
かの鮮卑どもに好き放題をさせて、
増長させるべきではありません」
劉裕、この意見を受け容れた。
出征に際し、後事は
すなわち後の恭帝に
依頼することとなったが、
そのままかれに任せていては
何が起こるともわからない。
そこで謝裕を司馬徳文の副官に任命。
司馬徳文の府の動向を監視させる。
併せて
右衞將軍、給事中、吏部尚書に。
ところでこの時同じ謝氏の名士、
ルールに基づけば、一つの氏族が
宰相クラスに何人もいるのは
その氏族の専制を招くという事で
認められてはいなかったのだが、
劉裕は過去に琅邪王氏が
尚書僕射に
任命した前例を持ち出し、
解任はしなかった。
義熙五年,高祖以內難既寧,思弘外略,將伐鮮卑。朝議皆謂不可。劉毅時鎮姑孰,固止高祖,以為:「苻堅侵境,謝太傅猶不自行。宰相遠出,傾動根本。」景仁獨曰:「公建桓、文之烈,應天人之心,匡復皇祚,芟夷姦逆,雖業高振古,而德刑未孚,宜推亡固存,廣樹威略。鮮卑密邇疆甸,屢犯邊垂,伐罪弔民,於是乎在。平定之後,養銳息徒,然後觀兵洛汭,修復園寢,豈有坐長寇虜,縱敵貽患者哉!」高祖納之。及北伐,大司馬琅邪王,天子母弟,屬當儲副,高祖深以根本為憂,轉景仁為大司馬左司馬,專總府任,右衞將軍,加給事中,又遷吏部尚書。時從兄混為左僕射,依制不得相臨,高祖啟依僕射王彪之、尚書王劭前例,不解職。
義熙五年、高祖は內難の既に寧んぜるを以て、思いを外略に弘め、將に鮮卑を伐たんとす。朝議は皆な不可と謂う。劉毅は時に姑孰に鎮じ、固く高祖を止め、以為えらく:「苻堅の境を侵したるに、謝太傅は猶おも自ら行かず。宰相の遠きに出づるは、根本を傾動せん」と。景仁は獨り曰く:「公は桓、文の烈を建て、天人の心に應え、皇祚を匡復し、姦逆を芟夷したり。業の高きは古きに振るいたると雖ど、德刑は未だ孚らざりて、宜しく推亡は固より存し、廣く威略を樹つるべし。鮮卑は密かに疆甸に邇づき、屢しば邊垂を犯したり。罪を伐ちて民を弔わば、是に於いて乎く在らんか。平定の後、銳を養い徒を息め、然る後に兵を洛汭に觀、園寢を修復すべし。豈に坐し寇虜を長ぜる有りて、敵貽患者の縱とせんか!」と。高祖は之を納む。北伐せるに及び、大司馬琅邪王、天子の母弟に屬し當に副に儲せんとせど、高祖は深く根本の憂を為したるを以て、景仁を轉じ大司馬左司馬と為し、府が任を專總せしめ、右衞將軍とし、給事中を加え、又た吏部尚書に遷す。時に從兄の混は左僕射と為り、制に依りたれば相に臨む得ざれど、高祖は僕射の王彪之、尚書の王劭の前例を啟依し、職を解かず。
(宋書52-9_寵礼)
「內難の既に寧んぜる」って言葉からすると、この段階で五斗米道を喫緊の脅威とは思っていなかったっぽい? あるいは嶺南と広固との距離感から逆算して(ものすごく雑に言うと同じくらい、むしろ嶺南のほうが遠い)、南燕を攻め滅ぼして戻ってくるまでに五斗米道は動けないと判断した? これは後者なのかなあ。確かにさくっと南燕を潰せていれば、五斗米道も建康まで攻め上れはしなかったのかもしれないんですよね。改めて思いますが、つくづく半年の攻城戦は劉裕に取って見立て違いだったのでしょう。これ、慕容超よく頑張ったよなあ……つうか半年も持たせられる君主の指揮力統率力ってすごくない? 亡国君主な分サゲが加えられていそうな気配が漂ってきました。
つーか、このやり口。マジで早い段階で謝混とバチバチになってそうだなー劉裕。謝混伝だと、この辺に絡むときの記述が「曆中書令、中領軍、尚書左僕射、領選。以党劉毅誅,國除。」しかないんですよね。さっぱり動向が見えてこない。
王彪之と王劭
苻堅が南下してこようと言うタイミングでの叙任。「外患がヤバくて通常のルールよりも適性だけで選ぶしかなかった」と言う名目がまかり通る感じではある。けど、その特例措置が、陳郡謝氏内の主導権争い(かつ、そこに肩入れしてくる劉裕)のネタにされた印象がある。そういや後に重用される謝晦は謝裕と同じ
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