劉義慶1 劉道規を継ぐもの

劉義隆りゅうぎりゅうははじめ劉道規りゅうどうきに養育されており、

一時は劉義隆に

劉道規の封爵地を引き継がせようか、

と言うことも検討されていた。


しかし臣下たちは反対。

ふたりにひとつの封爵地を継承させるのは

礼にもとる、と言うのである。

よって劉裕りゅうゆう、劉義隆については

取りやめとし、

代わりに劉義慶りゅうぎけいを立てた。



ところで劉道憐の妻はだん氏、

劉道規の妻はそう氏である。

劉道規、並びに彼女らの葬儀も、

皇帝に近いクラスの礼による葬儀が

執り行われた、と言う。



話を劉義慶に戻そう。

かれは幼いころから

劉裕の目に留まっていた。


「この子は、我が家の豊城ほうじょうだな!」


13歳の時に南郡なんぐん公を継承。

給事への叙任が諮られたが、固辞した。


416 年の後秦こうしん討伐に従軍した。

豫州の軍事や淮北エリアの軍事を監督した。


420 年にはいちど劉道規の爵位を

臨川りんせん王としたのち、改めて劉義慶に

臨川王を継承させた。侍中となった。


424 年、散騎常侍、祕書監に。

さらに度支尚書、丹陽尹と転属した。




初,太祖少為道規所養,高祖命紹焉,咸以禮無二繼,太祖還本,而定義慶為後。及長沙太妃檀氏、臨川太妃曹氏後薨,祭皆給鸞輅九旒,黃屋左纛,轀輬車,挽歌一部,前後部羽葆、鼓吹,虎賁班劍百人。義慶幼為高祖所知,常曰:「此我家豐城也。」年十三,襲封南郡公。除給事,不拜。義熙十二年,從伐長安,還拜輔國將軍、北青州刺史,未之任,徙督豫州諸軍事、豫州刺史,復督淮北諸軍事,豫州刺史、將軍並如故。永初元年,襲封臨川王。徵為侍中。元嘉元年,轉散騎常侍,祕書監,徙度支尚書,遷丹陽尹,加輔國將軍、常侍並如故。


初にして、太祖は少きに道規に養わる所と為り、高祖の紹きたるを命ぜるに、咸な禮に二繼無きを以て、太祖は本に還じ、而して義慶を後に為すべく定む。長沙太妃の檀氏、臨川太妃の曹氏の後に薨じたるに及び、祭は皆な鸞輅九旒、黃屋左纛、轀輬車、挽歌一部、前後部羽葆、鼓吹、虎賁班劍百人を給さる。義慶は幼きに高祖に知らる所と為り、常に曰く:「此れ我が家の豐城なり」と。年十三にして南郡公が封を襲う。給事に除せらるも拜さず。義熙十二年、長安を伐てるに從い、還じ輔國將軍、北青州刺史に拜さるも、未だ任に之かずして、督豫州諸軍事、豫州刺史に、復た督淮北諸軍事、豫州刺史に徙り、將軍は並べて故の如し。永初元年、臨川王を襲封す。徵ぜられ侍中と為る。元嘉元年、散騎常侍、祕書監に轉じ、度支尚書に徙り、丹陽尹に遷り、輔國將軍を加かり、常侍は並べて故の如し。


(宋書51-16_寵礼)



豐城

豐城貫斗ほうじょうかんと」のことだろうか。西晋せいしんのはじめ、のエリアで紫の煙が空の星座、斗宿と牛宿の間を貫くよう立ち上っていたという。なのでその出所であった豐城の監獄を掘ってみれば「龍泉りゅうせん」「太阿たいあ」とそれぞれ記銘された宝剣が掘り起こされたそうである(晋書張華ちょうか伝)。まーた張華さんか。この故事から、価値ある宝、あるいは得難い才能の学者が未だ世に現れず埋もれている状態を「豊城貫斗」と呼ぶようになったのだとか。得難い才能は埋もれてても隠れきれない、的な感じである。まぁ、このエピソードにも合致する感じはある。


なお原文はこんな感じ。


初,吳之未滅也,斗牛之間常有紫氣,道術者皆以吳方強盛,未可圖也,惟華以為不然。及吳平之後,紫氣愈明。華聞豫章人雷煥妙達緯象,乃要煥宿,屏人曰:「可共尋天文,知將來吉凶。」因登樓仰觀,煥曰:「僕察之久矣,惟斗牛之間頗有異氣。」華曰:「是何祥也?」煥曰:「寶劍之精,上徹於天耳。」華曰:「君言得之。吾少時有相者言,吾年出六十,位登三事,當得寶劍佩之。斯言豈效與!」因問曰:「在何郡?」煥曰:「在豫章豐城。」華曰:「欲屈君為宰,密共尋之,可乎?」煥許之。華大喜,即補煥為豐城令。煥到縣,掘獄屋基,入地四丈餘,得一石函,光氣非常,中有雙劍,並刻題,一曰龍泉,一曰太阿。其夕,斗牛間氣不復見焉。煥以南昌西山北巖下土以拭劍,光芒豔發。大盆盛水,置劍其上,視之者精芒炫目。遣使送一劍並土與華,留一自佩。或謂煥曰:「得兩送一,張公豈可欺乎?」煥曰:「本朝將亂,張公當受其禍。此劍當繫徐君墓樹耳。靈異之物,終當化去,不永為人服也。」華得劍,寶愛之,常置坐側。華以南昌土不如華陰赤土,報煥書曰:「詳觀劍文,乃干將也,莫邪何復不至?雖然,天生神物,終當合耳。」因以華陰土一斤致煥。煥更以拭劍,倍益精明。華誅,失劍所在。煥卒,子華為州從事,持劍行經延平津,劍忽於腰間躍出墮水,使人沒水取之,不見劍,但見兩龍各長數丈,蟠縈有文章,沒者懼而反。須臾光彩照水,波浪驚沸,於是失劍。華歎曰:「先君化去之言,張公終合之論,此其驗乎!」華之博物多此類,不可詳載焉。


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