朱齢石6 伐蜀1
412年。
今度の総大将は、
約二万の軍勢を編成、
この出征よりも前、朱齢石は
劉裕と密かに打ち合わせていた。
「劉敬宣の遠征は、
失敗した。
ならば今度攻めてくるときには
内水を囮、外水を本命として
攻めてくる……ふりをする、
と思うだろう。
こちらの裏の裏をかき、内水を守る。
そのように考えているはずだ。
なのでお前たちは、
内水を囮、外水を本命として攻めろ。
ただし、見せかけの大軍を
内水には送りこめ。
この奇策を用いれば、
奴らは抑え込めるだろう」
ただし、この作戦については
下手に周知をしてしまうと、
敵軍に漏れてしまう恐れもある。
そこで劉裕、この作戦を書簡とし、
厳重に密閉、朱齢石に託した。
そして言うのだ。
開けるように、と。
諸軍は、具体的作戦も把握できないまま
進軍していた。
そして白帝城に差し掛かったところで、
朱齢石、初めて蓋を開け、
司令を読み上げる。
「主力は外水経由で成都を抜く。
臧熹、朱林は中水より
内水には艦隊を浮かべよ。
ただし、乗せるのは主に病人たちだ。
見せかけを盛大なものとし、
劉敬宣殿が釘付けにされてしまった地、
こうして主力軍は全速力で外水を遡上。
一方で
內水沿岸にある
外水にある
外水の南北沿岸に築城させた。
九年,遣諸軍伐蜀,令齡石為元帥,以為建威將軍、益州刺史,率寧朔將軍臧熹、河間太守蒯恩、下邳太守劉鍾、龍驤將軍朱林等,凡二萬人,發自江陵。尋加節益州諸軍事。初,高祖與齡石密謀進取,曰:「劉敬宣往年出黃虎,無功而退。賊謂我今應從外水往,而料我當出其不意,猶從內水來也。如此,必以重兵守涪城,以備內道。若向黃虎,正陊其計。今以大眾自外水取成都,疑兵出內水,此制敵之奇也。」而慮此聲先馳,賊審虛實,別有函書,全封付齡石,署函邊曰:「至白帝乃開。」諸軍雖進,未知處分所由。至白帝,發書,曰:「眾軍悉從外水取成都,臧熹、朱林於中水取廣漢,使羸弱乘高艦十餘,由內水向黃虎。」眾軍乃倍道兼行,譙縱果備內水,使其大將譙道福以重兵戍涪城,遣其前將軍秦州刺史侯輝、尚書僕射蜀郡太守譙詵等率眾萬餘屯彭模,夾水為城。
九年、諸軍を遣りて蜀を伐たしむ。齡石を令し元帥と為さしめ、以て建威將軍、益州刺史と為し、寧朔將軍の臧熹、河間太守の蒯恩、下邳太守の劉鍾、龍驤將軍の朱林ら凡そ二萬人を率い江陵より發す。尋いで益州諸軍事の節を加う。初にして、高祖と齡石は密かに進取を謀り、曰く:「劉敬宣の往年に黃虎を出でたるに、功無くして退く。賊は我の今應に外水より往き、我を料りて當に其の意せざるに出でんとし、猶お內水より來たらんと謂いたるなり。此くの如きなれば、必ずや重兵を以て涪城を守り、以て內道に備えん。若し黃虎に向わば、正に其の計は陊れん。今、大眾を以て外水より成都を取らん。疑兵を內水に出ださば、此れ制敵の奇なり」と。而して此の聲は先馳を慮れ、賊は虛實を審らかとせば、別に函書有り、全て封され齡石に付され、函の邊に署して曰く:「白帝に至らば乃ち開けよ」と。諸軍は進みたると雖ど、未だ處分の由たる所を知らず。白帝に至り、書を發さば、曰く:「眾軍は悉く外水より成都を取るべし、臧熹、朱林は中水より廣漢を取り、羸弱をして高艦十餘に乘せ、內水を由し黃虎に向かうべし」と。眾軍は乃ち倍道兼行し、譙縱は果して內水に備え、其の大將の譙道福をして重兵を以て涪城を戍らしめ、其の前將軍・秦州刺史の侯輝、尚書僕射・蜀郡太守の譙詵らを率い眾萬餘にて彭模に屯じ、水を夾み城を為す。
(宋書48-6_妙計)
ここでは朱齢石が予め作戦を確定させているのにもかかわらず、それを秘密にしていたことが書かれている。
このアウトラインさえ定めれば、あとの部分は現場クラスの話となり、朱齢石の統率力でもフォローしきれる。こうしてでかい戦功を挙げれば、それは朱齢石の統率権向上にもつながる。
考えてみれば朱齢石って桓玄打倒戦で戦ってないんですよね。
と言うか、そうすると軽佻浮薄ってキャラ付けも実力に比して実権を得られていないことに対する理由付けとしての物語、みたいな気もするよなあ。
この辺も掘り下げられるものではないし、より面白い物語として機能しそうな方向に調整していきたいものだ。
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