朱齢石7 伐蜀2     

413年の夏、朱齡石しゅれいせき彭模ほうもに到着。

成都せいとの、すぐ南のところだ。

配下将たちはしょく軍が川の北の

険阻な地形に陣取っているのを見て、

先に南の城を攻めるべき、と主張した。


朱齢石は言う。


「それは違うぞ。

 たとえ厄介なのが北の城だとしても、

 先に南を攻めてしまえば、北の城を

 落とすだけの戦力は確保できまい。


 まずは我らが鋭鋒の全戦力で

 北の城を攻め落とすのだ。


 そうすれば南の城は

 戦わずして落ちるだろう」


秋に入り、朱齡石は

劉鍾りゅうしょう蒯恩かいおんらを率いて城を攻め、

早朝から日暮れに至るまで戦い、

ついには見張り台を焼き落とし、

四方の城壁から侵入に成功。


侯輝こうき譙詵しょうせんを斬り捨て、

ついで軍を南の城に向ければ、

朱齢石の見立て通り、

南の城はあっさりと降伏した。


十五人ほどの将軍を斬り捨てれば、

周辺の守備隊も次々に逃走。


ここで朱齢石は船を捨て、

徒歩にて進軍する。


好調であったしん軍だが、

トラブルはあった。

内水を進んでいた臧熹ぞうきが、

広漢こうかんに到着したところで病死。


だが、止まっているわけにもいかない。

朱林しゅりんが広漢に入り、譙道福しょうどうふくを破る。


中水を進む別動隊は船に乗り、

牛脾ぎゅうひ城を陷し、守将の譙撫しょうぶを斬った。


次々に届く敗報に恐れおののき、

譙縱しょうじゅうは成都の北西、城に逃走。

そこで巴西はせい人の王志おうしに捕まり、

斬り捨てられた。

死体は朱齢石軍に送られた。


馬躭ばしんというひとは

成都城の宝物庫を封印、

朱齢石軍の到着を待った。


譙道福は彭模が落ちた事を聞き、

五千の精鋭と共に急行した。

が、そこに届くのが譙縱敗死の報。


大将を失えば、もはやどうしようもない。

譙道福の軍も散り散りとなる。


譙道福は獠中にまで逃れたところで、

巴西人の杜瑤とように捕まり、

朱齢石のもとに送られた。

そして、斬り捨てられた。


また寧蜀ねいしょくという地には桓謙かんけんの弟、

桓恬かんてんがいた。


かれもやはり、処刑された。




十年六月、齡石至彭模、諸將以賊水北城險阻眾多、咸欲先攻其南城、齡石曰:「不然。雖寇在北、今屠南城、不足以破北;若盡銳以拔北壘、南城不麾而自散也。」七月、齡石率劉鍾、蒯恩等攻城、詰朝戰、至日昃、焚其樓櫓、四面並登、斬侯輝、譙詵、仍回軍以麾、南城即時散潰。凡斬大將十五級、諸營守以次土崩、眾軍乃舍船步進。龍驤將軍臧熹至廣漢、病卒。朱林至廣漢、復破譙道福、別軍乘船陷牛脾城、斬其大將譙撫。譙縱聞諸處盡敗、奔于涪城、巴西人王志斬送。偽尚書令馬躭封府庫以待王師。道福聞彭模不守、率精銳五千兼行來赴、聞縱已走、道福眾亦散、乃逃于獠中、巴西民杜瑤縛送之、斬于軍門。桓謙弟恬隨謙入蜀、為寧蜀太守、至是亦斬焉。


十年六月、齡石至彭模、諸將は賊の水が北の險阻に城し眾の多なるを以て、咸な先に其の南城を攻めんと欲せど、齡石は曰く:「然らず。寇の北に在りたると雖も、今ま南城を屠さば、以て北を破るに足らず。若し銳なるの盡きを以て北壘を拔かば、南城は麾せずして自ずと散ぜるなり」と。七月、齡石は劉鍾、蒯恩らを率い城を攻め、詰朝まで戰し、日の昃るに至り、其の樓櫓を焚き、四面に並べて登り、侯輝、譙詵を斬り、仍ち軍を回り以て麾らば、南城は即時にて散潰す。凡そ大將十五級を斬り、諸營守は以て次つぎに土崩し、眾軍は乃ち船を舍て步にて進む。龍驤將軍の臧熹は廣漢に至りて病卒す。朱林は廣漢に至るに、復た譙道福を破り、別軍は船に乘りて牛脾城を陷し、其の大將の譙撫を斬る。譙縱は諸處の盡く敗れたるを聞き、涪城に奔り、巴西人の王志は斬りて送る。偽尚書令の馬躭は府庫を封じ以て王師を待つ。道福は彭模の守られざるを聞き、精銳五千を率い兼行し來赴せど、縱の已に走れるを聞き、道福が眾も亦た散じ、乃ち獠中に逃るるに、巴西の民の杜瑤は縛りて之を送り、軍門にて斬る。桓謙の弟の恬は謙に隨い入蜀し、寧蜀太守と為らば、是に至りて亦た斬らる。


(宋書48-7_暁壮)




すっげえ勢いで侵攻が進む。いったい劉敬宣の時のぐだぐださは何だったんだと。

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