劉敬宣13 劉毅の殺意
しかしそのとき、劉裕はすでに
合わせて、
「私怨でみだりに
ルールを損ねるべきではないぞ。
お前がその提議を
押し切ろうというのであれば、
おれも公廷に出て、
その提議とは争うつもりだ」
なので劉毅は訴えこそ取り下げたが、
なおも劉裕に向け、食い下がる。
「これまでがこれまでだ。
おれには到底、
やつを信じることはできん。
考えてもみろ。
攻められるようになったのも、
反
やつが龐萌、張邈にならんと、
どうして言える?
このことを、よく考えろ」
だが、そんな劉毅も、
西のかた、西府に赴任するにあたっては、
劉敬宣を副官に誘っている。
それは、劉毅の中にある
「劉裕に付け狙われている同志」
という危機感からだったのだろうか。
「今回おれは、畏れ多くも
西府を預かる身となった。
そこでどうか、そなたに
副官としてついてきてほしいのだ。
劉敬宣殿、
おれを助けてはくださらんか?」
えっ、何それ? こわっ!
下手に劉毅とつながれば
どのような災いに
巻き込まれるともしれない。
なので劉敬宣、
このことを劉裕に打ち明けた。
すると劉裕は笑う。
「なに、気にするな!
お前が恐れるような
事態にはならんだろうさ!」
初,敬宣回師於蜀,劉毅欲以重法繩之;高祖既相任待,又何無忌明言於毅,謂不宜以私憾傷至公,若必文致為戮,己當入朝以廷議決之。毅雖止,猶謂高祖曰:「夫生平之舊,豈可孤信。光武悔之於龐萌,曹公失之於孟卓,公宜深慮之。」毅出為荊州,謂敬宣曰:「吾忝西任,欲屈卿為長史、南蠻,豈有見輔意乎?」敬宣懼禍及,以告高祖。高祖笑曰:「但令老兄平安,必無過慮。」
初、敬宣の蜀より師を回したるに、劉毅は重法を以て之を繩せんと欲す。高祖は既に相い任待し、又た何無忌の毅に明言して謂えらく「宜しく私の憾みを以て至公を傷むべからず、若し必ずや文の致りて戮さるを為さば、己は當に入朝し廷議を以て之を決さん」と。毅は止みたりと雖ど、猶お高祖に謂いて曰く:「夫れ生平の舊にして、豈に孤れ信ずべからんや。光武は之を龐萌に悔い、曹公は之を孟卓に失す,公は宜しく深く之を慮るべし」と。毅の出で荊州と為らば、敬宣に謂いて曰く:「吾れ忝くも西任さらば、卿に屈し長史と為さんと欲す。南蠻、豈に輔したるの意を見たる有らんか?」と。敬宣は禍の及びたるを懼れ、以て高祖に告ぐ。高祖は笑いて曰く:「但だ老兄をして平安ならしむのみ、必ずしも過慮無からん」と。
(宋書47-22_仇隟)
んー、劉毅は劉敬宣を副官に据えて、それでなんかの理由をつけて殺そうとしたのかな。西府に赴いてすぐの段階では劉毅、「ただちに」反逆しようって感じじゃなかったですものね。とりあえずここまでの流れからすれば違和感がでかすぎることだけ抑えておこう。
老兄
現代中国語だと年上の友人に向けての二人称とのことだが、晋書劉毅伝では劉裕が一人称として使っている。そうするとやや謙譲の意味が混じってくるだろうか。
龐萌
光武帝配下将としてかなりの信任を受けていたのだが、東部方面の群雄の一人であった
張邈
若い頃には
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