劉敬宣7 桓玄軍逆襲   

桓歆かんいんてい族の楊秋ようしゅうを率いて

歷陽れきように攻めてきた。


劉敬宣りゅうけいせん諸葛長民しょかつちょうみんが迎撃し、大破。

桓歆を単騎で淮水わいすいの向こうに追い払い、

楊秋を練固れんこで斬り、ふたりは帰還する。


この功績から、建威將軍、江州刺史への

昇進が諮られる。

が、劉敬宣、これを辞退する。


「父の仇も打つことができ、

 また国内の逆賊は片がつきました。

 ならば私は引退し、

 余生をひっそり暮らしたく思います。


 これまで恩賞無しでの働きを

 してまいりましたのも、

 ただただ劉裕殿への恩を

 返したかったまでのこと。


 加えて、劉毅りゅうき何無忌むきの二人が

 いまだ恩賞に与れておらず、

 更に劉裕殿の弟お二方も

 立場がいやしきまま。


 彼らを優先して褒賞せねば、

 朝廷は何をしているのだ、と

 責めを受ける恐れがございましょう」


だが劉裕、その言葉は受け入れなかった。


なので劉敬宣は江州に赴くことになった。

兵糧を集め、軍船を整備。

全ては次なる戦いのためであったが、

表向きは貨殖であるよう装った。


劉敬宣がここで軍備を蓄えたからこそ、

いちど桓振かんしんに破られた劉毅らは

すぐに体勢を立て直せたのである。


それから間もなくして、

桓玄軍残党の一人、桓亮かんりょう

江州刺史を自称し、豫章よしょうを襲撃してきた。

また桓亮は、あわせて苻宏ふこう

廬陵ろりょうに派兵する。


劉敬宣、そのどちらも撃破した。




桓歆率氐賊楊秋寇歷陽,敬宣與建威將軍諸葛長民大破之。歆單騎走渡淮,斬楊秋於練固而還。遷建威將軍、江州刺史。敬宣固辭,言於高祖曰:「仇恥既雪,四海清蕩,所願反身草澤,以終餘年。恩遇不遣,遂復僶俛,即目所忝,已為優渥。且盤龍、無忌猶未遇寵,賢二弟位任尚卑,一朝先之,必貽朝野之責。」不許。敬宣既至江州,課集軍糧,搜召舟乘,軍戎要用,常有儲擬。故西征諸軍雖失利退據,因之每即振復。其年,桓玄兄子亮自號江州刺史,寇豫章;亮又遣苻宏寇廬陵,敬宣並討破之。


桓歆の氐賊の楊秋を率い歷陽を寇ぜるに、敬宣と建威將軍の諸葛長民は之を大破す。歆を單騎にて走り淮を渡らせ、楊秋を練固にて斬りて還ず。建威將軍、江州刺史に遷ず。敬宣は固辭し、高祖に言いて曰く:「仇恥は既に雪がれ、四海は清蕩し、願いたる所は草澤し反身し、以て餘年を終えたらんと。恩遇の遣らざるに、遂に復た僶俛せるは、即ち忝き所と目し、已にして優渥を為したり。且つ盤龍、無忌の猶お未だ寵に遇さず、賢き二弟が位任の尚お卑しかれば、一朝は之を先んずべし、必ずや朝野に責を貽さん」と。許さず。。敬宣の既にして江州に至らば、軍糧を集むるを課し、舟乘を搜召し、軍戎に要え用うれど、常に儲せるに擬せる有り。故に西征せる諸軍に利を失い退據せると雖ど、之に因りて每に即ち振復す。其の年、桓玄の兄の子の亮は江州刺史を自號し、豫章を寇ず。亮は又た苻宏を遣りて廬陵を寇ず。敬宣は並びて討ち之を破る。


(宋書47-16_暁壮)




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