劉懐敬  無能のいとこ  

劉懐敬りゅうかいけい



劉懐粛りゅうかいしゅくには何人かの弟がいた。


二番目の弟、劉懐敬りゅうかいけい

かれはどもりの無能だった。


の、だが。


劉裕の母、趙安宗ちょうあんそう

産後の肥立ちを悪くし、

出産した日に死亡。


父、劉驍りゅうぎょうは赤貧暮らしであったため、

乳母を見つけることもできずにいた。

そのため、劉裕を殺してしまおうか、

とまで考えたそうである。


劉殿、そんな無体なこと!

これに立ち上がったのが趙安宗の妹、

別口の劉氏に嫁いでいた、趙氏。


彼女自身劉懐敬を

生んだばかりであったのだが、

いったん彼のことを捨て置いてまで、

劉裕に乳を与えてくれた。


生か死の瀬戸際の大恩である。

この恩を返すためにも、と、

劉裕、劉懐敬を取り立てた。


會稽かいけい太守、尚書しょうしょ金紫光祿大夫きんしこうろくたいふ

無能では本来到底務まるはずもない、

とんでもない高官待遇である。




懷肅次弟懷敬,澀訥無才能。初,高祖產而皇妣殂,孝皇帝貧薄,無由得乳人,議欲不舉高祖。高祖從母生懷敬,未朞,乃斷懷敬乳,而自養高祖。高祖以舊恩,懷敬累見寵授,至會稽太守,尚書,金紫光祿大夫。


懷肅が次弟の懷敬、澀訥にして才能無し。初にして、高祖の產まるるに皇妣の殂したるに、孝皇帝は貧薄が由にて乳せる人を得たる無かれば、議し高祖を舉げざらんと欲す。高祖が從母は懷敬を生み、未だ朞れずして、乃ち懷敬が乳を斷ち、自ら高祖を養う。高祖は舊恩を以て、懷敬は累しば寵授せるを見、會稽太守、尚書、金紫光祿大夫に至る。


(宋書47-3_寵礼)




趙倫之ちょうりんし到彦之とうげんしの扱いを見たあとだと、

うーん、この情実人事^^^

みたいな印象がすげえですね。


趙氏が敢えて劉氏を選んで

輿入れしてるのには、

戦略めいたものを感じて仕方ないです。

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