愁いを知らぬ鳥のうた

無月弟(無月蒼)

愁いを知らぬ鳥のうた

 自由と言う言葉を体現したように、優雅に大空を優雅に飛び回る鳥達。だけど全ての鳥が、その自由を手にしているわけではない。

 生まれつき飛ぶことができなかったり、ケガをして飛べなくなったり。そんな飛べない鳥達は、空を舞う仲間達を見て、何を思うだろう?


 飛べない鳥に、何の価値があるというのか。

 一度でいいから、あの空を飛んでみたい。自由に飛ぶことができたあの頃に、もう一度戻りたい。今日も飛べない鳥達は、嘆き悲しむ。

 飛ぶこと。それが己が鳥であることの意味であり、存在意気。故に飛べない鳥に、生きる意味なんて無いのだから……。





「え、そんなこと無いよ。だって僕は飛べないけど、そのかわり泳げるんだから。スイス―イ!」


 楽しそうに海で泳いだその子は、陸に上がると今度は歌い始める。


「ボクはペンギーン♪ 飛べなくても泳げるのさー♪ スイス―イ♬ 皆だって飛べなくてもー、出来る事あるよー♪ 嘆いてばかりじゃもったいなーい♬ イエーイ!」


 楽しそうに歌うペンギンくんを見て、飛べない事を愁いでいた他の鳥達から、プッと笑いが漏れる。


「飛べなくても楽しそうだなあ。何だかアイツの歌を聴いていると、飛べないのを気にするのが馬鹿らしく思えてくる」

「そうだよな。飛べなくったって、人生楽しめるよな。それにしてもペンギンのやつ、愁いって言葉とは無縁だよな」


 怪我をして飛べなくなっていた鳩さんも、生まれつき飛ぶことができなかったツバメさんも、どう考えても飛べなさそうな体系をした、カクヨムで働いている丸っこいトリさんも、自然と笑顔になる。


「ボクの歌を聴けー! 飛べなくったってー♪ 人生楽しいよー♪ ランラランララーン♬」


 飛べなくったっていいじゃないか。ペンギンくんから元気を貰う、鳥達でした。





 愁いを知らぬペンギンのうた  おしまい🐧

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

愁いを知らぬ鳥のうた 無月弟(無月蒼) @mutukitukuyomi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ