第41話 エピローグ
孫晧が洛陽に去ったのち、建初寺にて孫尚香は親の亡き子を集め、育て教える。子らは尚香の話す、英雄譚に目を輝かせながら聞き入り、もっともっととせがむ。一番人気のある人物は諸葛亮である。そして皆、劉備の話に涙を流した。諸葛亮は神のごとき伝説の人物となり、劉備は死んでなお人々に愛されている。
毎日、長江を眺め、陸遜の墓に参り、三国の生き証人である孫尚香の命も燃え尽きようとしていた。
「孫家で一番若かった私が、一番長く生きた」
孫家も、陸家も恐らく子孫は残らないであろうと少し寂しくもあったが、それもまた天意とあきらめる。
一番年長の青年に、死んだら陸遜の隣に埋葬してほしいと頼み、何の血縁もない子らの尚香を母と慕い泣き叫ぶ声を聞きながら、それがやがて静寂となり、鼓動の音も止まった。
建初寺の屋根では5色豊かな美しい鳥が一羽、休んで空を見ている。そこへもう少し大きな同じ鳥が優美な翼を広げ近づき旋回する。屋根の上の鳥は羽ばたき、その鳥の元へ向かう。美しい二羽の番の鳳凰は長江の上を戯れるように羽ばたき、やがて大海へと飛び去った。
終
浪漫的女英雄三国志 はぎわら 歓 @hagiwarakan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます