第2話  妖世界の事 私の世界の事

「 な 、な 、なんで私がお嫁さんにならないといけないんですか ??! 」



驚いた表情でジキに言えば 、ジキは少し考えて口を開いた 。



「 詳しい事はまだ言えないけど 、君に僕のお嫁さんになって欲しいんだ 。」



気難しそうに話せばなんで理由が言えないんだろうかと内心もやもやとしながらも私は良い事を思い付いた 。



「 私を私の世界に返してくれない ??

じゃないと 、親に怒られちゃうし ... 」



この世界の原理とかはまだ正直分かってないが時間は向こうもこっちも同じだろうと考えジキに返して欲しいと頼んだ 。



「 そこら辺の事なら大丈夫だよ 。」



微笑みながら言われては少しは?っとなった 。まさか時間操れます的な妖なのか?!と思っていると 、



「 僕の術で君を隠させて貰ったからね 。

いわゆる 、' 神隠し ' 的なのかな ?? 」



呑気に神隠しだと言われては妖チートやんけと内心呆れた 。詳しい事を聞いてみると神隠しには何パターンもあるようで 、本来の ' 隠す ' 以外にも ' 人物そのものを抹消する ' 事や ' 記憶の塗り替え ' があるらしく 、神隠しと言う術そのものが高度なのだがその中でも記憶の塗り替えは非常に難しく失敗をしたら記憶そのものが神隠しにあった者の中から消えたり自分の事を思い出せなくなったり 、家族が自分の事を家族だと認識してくれなかったりとひどいケースもあるらしい 。

私の場合は ' 人物そのものを一時的に抹消する ' と言うもので 、人間世界では私は今 ' 元々居ない存在 ' となってるらしく 、人間世界に戻れば ' 元々から居る存在 ' となるようだ 。実に不思議な術だ 。



「 その 、神隠し ?? で 、私は居ないから帰らなくても別に平気って事でOK ?? 」


「 オーケーオーケー 」



なんとなく理解した私は帰らなくても良いなら良いかなとこの世界も悪くないなと思い始めた 。この世界の事はまだ分からない事だらけだけれど人間世界よりも楽なように思えた 。



「 ねぇ 。あのさ 、この世界の事を私に教えてくんない ?? 」



妖とかそういう者には元々興味があり 、詳しく知りたいと思ってたのでジキに質問をしてみた 。すると 、



「 良いよ 。教えれる事だったら寝物語の代わりに教えてあげよう 。」



と 、承諾してくれた 。案外妖も悪いヤツが多いわけでもでも無さそうだ 。

この世界にはどんな妖が居るのか質問してみた所 、' 日本妖怪 ' と ' 中国妖怪 ' の他にも居るようで 、' アステカ神話に存在する神様 ' や ' エジプト神話の神様 ' に ' マヤの神様 ' や ' ギリシャ神話の神様 ' など 、世界各地に存在するありとあらゆる神々が地域は違うが住んだりしているそうで私は目を輝かせて話を聞いていた 。私は小学校高学年の頃から星座や宇宙に興味を持ち始めて色々と調べた事があった 。

他にも妖怪の世界の事は ' 陰世界( オンヨカイ )' で人間達の世界を ' 陽世界( ヨウヨカイ )' と言う名前が付いてるらしい 。人間が死んだ後に行く死後の世界と妖の命が尽きた時に行く世界は同じであり 、' 輪廻の輪 ' と言う名前で呼ばれてるらしい 。時間はどこの世界でも共有してるらしくこの世界は違うなんて事は世界の理が許さないみたいで地球と同じ時間や周期らしい 。



「 他にも聞きたいことは無いかい ?? 」


「 ううん 。無い 。色々教えてくれてありがとね 」



色々と話してもらえば少し満足したので無いと答えた 。

ジキはゆっくりと立ち上がり部屋が薄暗いので炉に火を灯すととても綺麗な色をしていて私は少し見とれてしまった 。



「 そう言えば 、ナオは昔僕達の事が見えてたんだよね 」


「 うん 。幼い頃だけどね 。」


「 その時に助けて貰った妖や神様が会いたいと通達が来てるから明日にでも行こうか 」



神様とか妖とか助けたっけ ?? とあまり覚えてない記憶を呼び起こそうと考えてると炉に火を灯したジキはふすまを開けようとしていた 。開けると布団をよっこいしょと出していて下に敷いてるようだった 。



「 君の部屋がまだ無いから今日はここで寝て貰うよ 」



布団を敷いたり掛け布団を出したりと忙しくしながら言われた 。勝手に決めんなやと内心思ってるとコンコンとドアを叩く音がした 。



「 はーい ?? 」



ジキは出られないので私が出てみるとそこには長くツヤのある黒髪で少し顔色の悪い綺麗な女性が居た 。



「 女人のアマノです 。直美様のお召し物をお届けに参りました ... 。」



部屋着専用だろうか 、ピンク色でシンプルな感じの着物を差し出されては 、取り敢えずお礼を言い 、



「 ジキー 、なんか貰ったんやけど 、」



と 、振り返りながら渡された物をジキに聞こうとしてはアマノと言う妖は失礼しますと言ってそそくさと帰って行った 。



「 それを着て今日は寝ると良いよ 」


「 さっきの人は ??

なんだか顔色悪そうだったけど ... 」


「 雨傘妖怪だよ 。今は下働きとして雇ってて普段からあんな感じだよ 。」



雨傘妖怪と言われてはなるほどと思った 。雨傘って傘かと思ったらそうでも無いんだとまた妖の事を知った 。



「 布団は敷いたから後は着替えるだけかな 。僕も少し着替えてくるとするよ 。」



綺麗に2枚程布団が敷かれてるのを見てはジキと寝ちゃうの??まじで??と少し驚いた表情をしているがジキはお構い無しに言ってしまった 。着物の着方はお婆ちゃんに教えて貰った事があるのでなんとなくだが着れた 。暫くするとジキも紺色のシンプルな着物で入って来た 。



「 明日は早く起こすからね 」



そそくさと布団に入るジキを見ては年寄りみたいだなと内心少し思いながら 、自分も布団に入った 。久々にこんな気持ち良く 、そして少し安心して布団で寝られるなんて思っても見なかったので私はすぐに眠りについた 。

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私はこの世界で静かに暮らしたい 福岡の原ちゃん @0511_Hara

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