私はこの世界で静かに暮らしたい
福岡の原ちゃん
第1話
私は極普通の一般人なのだ 。なのになぜこうなった
────
・
さかのぼる事2ヶ月前の事 。
赤い夕日が沈もうとしている中 、私は学校から家に帰宅をしていた 。いつものように小学校前の坂を登り 、いつものように自動販売機を横切り幼稚園の横を通る 。いつも帰る道だ 。
手にはライトノベルの小説を持ちそれを見ながら歩いていたら何かを踏み付けたようだ 。小説を閉じて下を見てみると薄汚れたイタチの様な動物が横たわって居た 。
「 お〜い 、大丈夫か〜? 」
その場にしゃがみこみ動物の意識があるか暫く見るが意識はないようにみえる 。
2分ほど歩けば自分の家なので軽い手当てなら今の時代スマホでググれば出てくるので手当てでもしようと思い動物を持ち上げてみると見た目よりは軽く痩せ細ってるように思えた 。
小さな横断歩道を渡り15棟と書いてあるマンションを左へ曲がり少し奥にある自分の家に向かった 。
階段をタタッと登ればドアの前に立ちカバンの中からカギを出そうと思うが動物片手には出せなく優しく動物を横の階段に置いて 、再度カバンの中からカギを出せばガチャリとドアを開ける 。今日も親は家には居ないようだ 。
カギを首にかけてカバンを先に家の中に放り投げた 。動物を優しくまた抱っこしたら家の中に入る 。
「 ただいま〜。」
誰も居ない家に一言ただいまと言えば靴を脱いで家にあがる 。家の中に放り投げたカバンを隅に蹴飛ばし 、リビングに入ると動物を置くタオルが必要なのを思い出しテーブルの上に置こうとした 。自分が帰ってきたのが嬉しいのか昔から飼ってるイヌにネコ二匹が鳴いたりハウスで嬉しいのかはしゃいだりとしているのを横目で見ながらタオルを取りに行った 。
蹴飛ばしたカバンの中からスマホを取り出せば自分の部屋にまた放り投げた 。
『 イタチ 食べ物 』
タオルを取りながらブラウザでそう調べた 。
するとイタチはネズミやトリ等の鳥類に甲殻類に両生類を食べると書いてあり 、一種嫌な表情をしてしまった 。
家には書いてあった物は鶏肉くらいしか確か無いので後で鶏肉を解凍しようと思いながらイタチの居るリビングへ戻る 。
スマホを胸ポケットに入れて制服の腕をまく台所で暖かい水でタオルを濡らしていく 。
ゆっくりと絞ったら軽くはたきそれをテーブルの上に乗せているイタチの身体を拭いてあげようと思い身体を撫でるように拭く 。
毛並みは良く 、野良じゃなければ良かったのになんて考えていたら薄汚い身体は綺麗になっていた 。
全体的に白く誰かが飼っていたと言われても疑問には思わない容姿だった 。
時間は六時になろうとしていた 。
親はまだ帰ってこないようなので家にこの子を置いてても大丈夫だろうと思っていたらイタチが目を覚ましたようだ 。
「 ぁ 、目覚めたんやね 」
イタチに優しく微笑みかけながら言えばイタチはここはどこだと言うような顔と驚きの顔をしていた 。
「 お 、お主 ... !!! 俺の姿が見えるのか ?! 」
唐突に喋るイタチに固まってしまった 。
アニメの見すぎなのか 、それとも幻聴なのか固まっていると
「 見えるのだな ?! 」
少し大きな声で聞かれては縦に頭を降った 。勢い良く 。
イタチって喋るの ?? いやいや 、アニメの見すぎかよ なんて思うが取り敢えずこの状況はなんなんだと思っているとまた向こうから話を掛けてきた 。
「 単刀直入なんだが 、お主に来てもらいたい所がある ! 」
「 んぇ ?! ちょっと待って ?! 状況が把握出来ないんだけど ....... 」
驚きのあまり言葉を出した 。意味が分からないと言うような表情をしているとお構い無しと言うような態度で言葉の弾丸を飛ばしてくる 。
「 取り敢えず 、来てください ! 俺の後に着いてきてくれたら分かるので ! 」
「 ぇ ?? あ 、うん ... 」
イタチはそう言うとテーブルから降りて玄関の方に駆けていく 。私も何も知らないまま付いていく 。玄関を開けてあげるとイタチは外に駆け出して行った 。私も靴を履いて付いていく 。
自分の棟は16棟でまた奥の17棟の横には森がある 。そこには古い家が奥にポツンと立っていて近付く者は少ない 。みんなその家の事をお化け屋敷と呼ぶ 。
私は何度も親友とそこに行ったので怖くはないが夜が近付いていたので怖かった 。
夕日が半分以上落ちたのでイタチの姿もだんだん見えなくなった 。
イタチに付いていくとそのお化け屋敷に着いた 。
「 この ... お化け屋敷がどうかしたんですか ?? 」
「 ここは俺らの扉がある所なんだ 。」
「 扉 ?? 」
' 俺らの扉 ' と言われては訳が分からなかった 。この喋るイタチはなんなんだと思っているとイタチはそのお化け屋敷の中心に立った 。
すると同じく夕日も落ち 、夜になろうとした時だった 。イタチの下のコンクリートがまばゆく光った 。私はその光に視界を奪われて両方の目を手のひらでおさえた 。
数秒経って光が無くなったのが分かりゆっくりと目を開けてみるとそこには驚きの光景が広がっていた 。
「 ウソ ... 、なにこれ ....... 。」
「 よいしょっ 。ほら 、行きますよ ! 」
そこには大きな扉があった 。
左右の扉に大きくキツネがあしらわれてあり 、そのキツネは中心を向いていた 。
イタチは扉を開けるとそこには地下への階段のようになっていた 。
階段にはホオズキのランタンが置いてあり 、階段を約9段ほど降りると壁にはキヅタが張り巡らされていてそのキヅタもほのかに光を発していた 。
その空間は明るく他にもカトレアの花やクロユリの花にトリカブトの花等が浮いたり咲いてたりと不思議な空間になっていた 。
イタチに着いて歩いていると出口が近いらしくイタチが駆け足になっていた 。
私はイタチの事に気付かずにその空間の植物を見ていた 。
名も知らない植物達だがとても綺麗で見たことの無い植物で呆気を取られていた 。
ゆっくりとした足取りで浮いてる植物を手にとったりして眺めていると遠くから声が聞こえた 。
「 お〜い !! 早く早く !! 」
前を見てみるとそこにはふさふさな少し大きい尻尾に小さな獣の耳が生えていてはかまだろうか 、はかまを着た男子が手を振りながら大声で叫んでいた 。
そう言えば呼ばれてたと思えば小走りで出口へ向かった 。あのイタチはどこへ行ったのだろう 。
「 えっと ....... 、キミは ?? 」
「 一緒にここまで来たじゃないか !! 」
「 え ?! あのイタチ ?! 」
「 俺はイタチじゃなくてシイのシロオって言うんだ 」
「 シイ ?? なにそれ ... 」
大声で呼ぶ男子の所に行けば先程までの通路は無くなっていた 。大声で呼ぶ男子に誰?と聞いてみると先程のイタチだそうだ( 詳しく言えばイタチではなくシイらしい )。
名前を名乗られてはわけも分からずに半場強制的に連れてこられたので自分も名乗るのを忘れていた 。
「 私の名前は 土方 直美( ひじかた なおみ )よ 」
「 じゃあナオで良い ?? 」
「 うん 」
名乗ればシロオも言う男の子はニッコリと笑い話しかけてきてくれた 。
辺りを見回すと確か地下に入ってたはずなのだがそこには青空が広がっており 、鳥も飛んでいた 。太陽も高く登っていてそこは違う世界のようだった 。
「 そう言えば 、なんで私をここに呼んだの ?? 」
今まで疑問に思っていた事を言ってみた 。
シロオは少し考えるような素振りを見せた後に口を開いた 。
「 実はナオを呼んだ理由はここで揉め事が起こっているんだ 。」
「 揉め事って ?? 」
揉め事の事を聞いてみたら分かりやすく教えてくれた 。他の事も 。
ここは妖 、いわば妖怪の世界らしい 。
この世界には2種類の妖怪が居るらしい 。
' 日本の妖怪 ' と ' 中国の妖怪 ' 。
揉め事は良くあってたらしく 、些細なことがつのりつのって今は妖怪大戦争へとなりそうになってるそうだ 。
その争いごとを止められるのが妖怪の見える人間 。つまり直美だったのだ 。
「 ふ〜ん ... 、で 。私は何も出来んただの一般人なんだけどさ 、どうしたらいいの ?? 」
「 平和的解決をして欲しいんです 。つまりは話し合いです 。」
妖怪達の話し合いに私がかたれば第三者として意見が言えるので解決するらしい 。こんな一般人でいいのだろうか 。
シロオと話していると空から声がした 。次はなんなんだ 。
「 シロオー ! お前 ... まさか ....... 人間を連れてきたのか ?! 」
「 水虎のコタロウじゃねぇか !! 」
2人で空を見上げていると水虎と呼ばれる日本と中国のどちらにも居る妖が声をかけてきたらしい 。また訳の分からない妖怪が増えたと思っていたら空から降りてきた 。この妖も人型をしていた 。
「 あの方に見つかったらどうするんだよ ?! 」
「 その時はその時だって 、大丈夫大丈夫 ! 」
コタロウとシロオは色々と話していた 。
人間はこの世界では良くは思われてないようで見つかったら殺されるのかなと思っていた 。暫く2人を端から見守っていたら 、
「 はぁ ... 。分かった 。俺もついて行ってやる 。」
折れたように言えばコタロウは人間の事は嫌いではないらしく明るく話しかけて来てくれた 。
「 よぉ 、お嬢さん 。今から日本の妖怪のトップの所に行くけど大丈夫 ?? 」
「 え 、?? トップって言う事は ....... 、一番偉い人のとこ ?! 」
「 そそ 。でも大丈夫 ! その人は人間の事好きだから ! 」
「 んぇ〜....... 。そんなぁ〜...。」
拒否権も無く困っていると水虎のコタロウが水で自分とシイのシロオを浮かせた 。
コタロウも水を上手く操作して浮かんでは古典的な街並みを指差して言った 。
「 あの五重の塔みたいな所に偉い人居るから落ちないようにな 」
コタロウが指さした方を見ては本当に五重の塔のような所があった 。凄いと思ってたらいつの間にかに空に飛んでいた 。気づかなかった 。
古典的な街並みを眺めているとシロオが後ろから声をかけてくれた 。
「 唐突に引っ張って来てゴメンな.......。俺も切羽詰まってたからさ...。」
「 いーよ いーよ 。後でここの事とか色々教えてね ?? 」
優しく許した 。正直こんな素敵な光景を見せてくれたのだから許さない訳が無い 。
妖怪なんているのは知っていた 。元々見える体質だったが弱く年齢を重ねるうちに見えなくなり最近はめっきり見えなくなった 。また妖怪が見える喜びとアニメの見すぎではと思う心でいっぱいいっぱいだった 。
「 そろそろ付くぞー 。」
偉い妖怪はやはり最上階にいるようで上へ上へと登りながらコタロウは言った 。
色々な感情を心に持ちながら着くのを待った 。
「 水虎のコタロウです 。人間の娘を連れてきました 。お通し下さい 。」
先に降りたのはコタロウだった 。
先に話は通っていたようで障子の中から声が聞こえた 。コタロウは入っても良いと言ったが正直怖い 。コタロウの術で浮いていた私はコタロウの横に立った 。下は木で作られているので怖い 。障子をゆっくりを開けて中に入るとそこには黒髪に赤い目をした男性が着物姿で座っていた 。偉そうだった 。
「 ... 私はその ....... 。」
声が震え 、言葉があまり出なかった 。コタロウは障子を閉め外にいるみたいだ 。
小刻みに震えながらなんとか喋ろうとしたがやはり無理らしく声が出なかった 。
「 君が人間の直美かい ?? 」
「 ... は 、はい ....... 」
「 僕は大嶽丸のジキ 。別名夜叉 。日本妖のトップだよ 。」
案外優しく接してくれた 。嬉しい 。そのように思っていたら緊張か不安か分からないが何かがほぐれたような感じがした 。
「 ジキさんと中国妖のトップさんとで話し合いをして欲しいと頼まれたのですが ....... 」
「 話し合いなら先程終わったよ 。向こうさんは人間嫌いらしくてね 、」
「 じ 、じゃあ私は帰っても ?? 」
終わったのかと思いホッとした 。正直私は話し合いとかには向かないのだ 。帰っても良いか聞いたらダメだと言われた 。理由は先程の話し合いで決まったらしい 。理不尽だ 。
「 君がこの世界に来てしまった以上 、ここで過ごして貰うよ 。」
「 そんな ....... 殺生な ....... 」
理由としてはこうらしい 。
昔( 約500年以上も前 )に1人の人間が来たらしい 。その人間は妖が見えたらしく自分が最後だろうと言っていたらしい 。その人間は次誰かが来たらこの世界に留めておいて欲しいと言ってこの世界で無くなった 。理由は分からないが大体は推測出来る 。
「 理由は多分 ' 見えるものを増やさないため ' だろうね 、」
ジキはそう言った 。
私もそれは何となく理解した 。
見えるものが増えればここは危うくなり 、色々な事を解明しようと妖怪達を捕まえるだろう 、と 。
「 唐突だけど 、ナオ 。僕のお嫁さんにならないかい ?? 」
「 え ?! 」
驚きの声をだして内心思った 。
ここまでで分かったことは妖怪は唐突に物事を言う事と言う事だ 。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます