第18話   まだ先があるということ

 悪い所を見つけ、そこを直していくことを”成長”と呼んでいる。自分にとって何が悪いか、足りかないのかを見つけられたなら、そこを取り除く、または付け加えることで、良くなるわけだ。

 道に穴が開いているとして、穴を見つけて塞げば、道を通るのが楽になるということ。言葉遣いが悪いと思えば、普段から言葉遣いに注意することで、かなり直すことができると考える。

 足りないところを補う、悪いところを直すというのは、意識することで、おのずと無意識にできるようになってくる。泳ぐときの息継ぎなど、最初は意識してやらなければならないが、だんだんと体が勝手にやってくれるようになる。自転車なども同じだ。つまり、直そう、良くしようと思えば、直す、良くするというのは難しくない。その状態を維持できれば、だが。

 そう考えると、難しいのは『穴を見つける』『悪い点を探す』『何が足りないか知る』ということになる。これらを見つけだすことが、自分を成長させる方法と考えている。だから、何が悪いか、足りないか、人を見て、自分を見て、常に探す姿勢こそが、人の伸びしろと言えるだろう。

 逆に、自分を省みない人、自分が悪くないと思っている人は、今現在よりも先に進むことができない、成長することができないと考えている。

 先に進む楽しさを知る人は、とにかく悪い部分を探すものだ。直せばどうなるか、自分がどこまで良くなれるか、上手くなれるか、立派になれるかに興味を持ち、人のことを責めるよりも自分を責める態度をとる。

 そんな人間になる必要はないが、良くあろうとするということは、悪い所を知るという行為にほかならないと、知っているだけでも違う。

 人生は楽しい。自分が昨日よりも先に進める、進めたと思うと。自分は、果たしてどこまで行けるのか、生きる楽しみの一つになっている。

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旅の道草 枝市ミナイ @EC371

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