第17話   何になるか、ではなく、何をなすか

 あなたは友人と、その子供に会いました。久しぶりの再会です。子供は随分と大きくなっていました。あなたはその子供に聞きました。

「将来は、何になりたいの?」

 さて、こういった質問を、小学生、中学生、高校生、大学生にしたことがあるだろうか。おそらく、大体の人が『ある』と答えるだろう。

 なぜそんな質問をするのか、質問をする人に聞いてみたい。別に、どんな仕事に着いたって、その人に自由だろうし、わざわざ聞くようなものでもないだろうと考えるから、私にとっては不思議な質問になる。

 なぜ子供のころから、どんな仕事をしたいかと聞くのだろうか。どうせなら、どんな遊びをしたいか、どんな暮らしをしたいか、どんな人生を送りたいか、と聞いた方が実のある質問だと思う。

 例えば『人の役に立つ仕事がしたい』と考える子がいるとしよう。その子ははたして、どんな仕事に就くだろうか。人の役に立つ仕事など、いくらでもあるだろう。例を挙げれば、医者、看護師、消防士など、それこそ人の役に立たない仕事など、そもそも仕事として成り立たないだろう。

 逆に、『人の役に立ちたいから、警察官になりたい』と考える子がいたとして、もしその子が警察官の規定に沿わなければ、人生を棒に振ったということになるかもしれない。

 自分の考えを縛らず、何をするかではなく、何ができるかと考えることで、視野が広がり、可能性が広がる。大人ならば、別にどうでもいいだろうが、子供たちには広い視野で物事を語ってやる必要があるだろうと考える。

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