犬の章

プロローグ

人は必ず死ぬ。死ななければならない。しかしその必然を恐れるのが人間である。

俺だって死ぬのは怖い。ただ、だからこそ一度きりの人生を自由に生きたい。

一瞬一瞬が過ぎ去る時間ならば、しかもその過ぎ去る時間が確実に死への一歩一歩ならば、俺はその時間を自分のものとして責任を持ちたい。

太夫としてしきたりや習慣、知識を教えられるのは、その土地の人の自由だから仕方ないとしても、俺の自由奔放さを理解していなければ、受け入れないことにしている。どの時間、どこにいても何をしようとも俺の勝手だ。

そうでなければ意味がない。俺はただでさえ寿命が短いアルビノなんだから。

何にも縛られず、後腐れなく、最期は「人生サイコ―!」って叫びながら笑って死んでやる。


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