死神少女 ホラー・ガール(旧)
雨世界
1 よいしょ、よいしょっと。
死神少女 ホラー・ガール
登場人物
ホラー 死者の国で生まれた女の子。ホラー・ガール
みちる まだ、生きている、男の子。
プロローグ
穴を埋める。
本編
よいしょ、よいしょっと。
死者の国
「よいしょ、よいしょっと」
その日、地下のずっと奥深くにある、太陽の日の光の届かない、真っ暗な地下の世界で、きらきらと輝く紫色の水晶の明かりを光源にして、いつものように、ぽっかりと空いた巨大な空間である『死者の国』で、死者たちを埋めるために、一生懸命になってスコップで穴を掘っていたホラーは、もうこんな仕事(あるいは、人生)は辞めたいとある日唐突にそう思った。
確かに私は、死者の国に生まれた存在であり、こうしてこのよくわからない地下のぽっかりと空いた巨大な空間の中の世界で、その地下の世界の硬い(まるで氷のようだった)地面の上に、さらに死者たちを埋めるための穴を掘ることを、その仕事として、人生の生業にしているわけだけど、そんなことは私が望んだことでは決してないのだ。
ああ、もうこんな暮らしはたくさんだ。
どこかに逃げ出したい。
できれば、ずっと憧れている地上に行ってみたい。物語でしか、聞いたことがない、太陽の光の輝く、あの眩しい、きらきらとあらゆる生命が光り輝く世界に行ってみたい。
そんなことを、生まれて十五年の歳月がたった地下の死者の国に生まれた女の子、ホラーは思って、真っ暗な空を見上げた。
「なにさぼってんの。ホラー。さっさと穴掘らないと、お昼ご飯抜きになるよ」
そう言って、一緒に、隣で死者たちを埋める穴を掘っていたスパイスがホラーにそんなことを言った。
性格は強気だけど、根は真面目はスパイスは、ホラーと違ってせっせと(ノルマを達成するために)死者たちを埋めるための穴を掘り続けていた。
「スパイス。私と一緒にここから逃げよう」とホラーは言った。
「いやだよ。だって、ホラー絶対に途中で諦めるもん」とスパイスはスコップを持つ手を動かしながら、にっこりと笑って、ホラーに言った。
死神少女 ホラー・ガール(旧) 雨世界 @amesekai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。死神少女 ホラー・ガール(旧)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます