彼岸花の庭
銀色に視界を閉ざしながら降る雨。
そして一面の彼岸花。
「庭というには広大すぎる野。」
そう作者さんは表現します。
一面の彼岸花……
なんて非現実で、寂しげで、そしてどこか恐ろしげな風景でしょうか。
実はそこは亡くなった人が、辿り着く世界なのです。
そこで「墓守」をしている私は、表情がクルクル変わる「死者」である少女と出逢います。
「私は生きたかったのに、どんな気持ちで死んだんだろう?」
自ら命を絶った少女はそう問いかけます。
ポタポタと濡れそぼった重そうなコートから、雫を垂らしながら……
静かに始まった物語は、まるでジェットコースターにのっているように、急激に変化をしていきます。
まるで多面体のガラスをかざすように、作者はさまざまな面に光を当てて、話を紡いでいきます。
不思議な浮遊感と崩壊していく世界……
短い物語なのですが、長い、長い話を読んだような満足感があります。
読み手によって、解釈が変わりそうな余韻のあるお話で、このまま長編になるのではないかとも思わせられます。
扱いようによっては、とても重たく暗くなるテーマを、一条の光が差しているような物語に仕上げた作者さんの力量には脱帽です。
著者 小此木センウ
「彼岸花の庭」
https://kakuyomu.jp/works/16817139554758956250/episodes/16817139554759246866
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