雨に知る

 雨に……知る


とても意味深なタイトルです。

一体、雨に何を知るのかな?


ページを開くと、静かに青い炎が燃えるような詩が書かれていました。

切々と詩は、私たちに語りかけて来ます。


15歳。


もう子供でもなく、大人でもない。

繊細な感性の特別なひととき。


作者は、私たちの心の奥に眠っている、過ぎ去っていったその時代を丁寧に抉り出します。


とびきりの感受性が、世界を彩り、暗転もさせたあの頃。


雨が降り、陽が照る。

そんなことですら、BGMのように心を更に波立たせます。


偶然見つけたつぼみは、花ひらくことなく、雨に打たれて地面に叩きつけられます。

それでも雨は、少女の傷心に降るのです。


悲しくて、純粋で、愛らしい。


そして一歩、一歩、確かに、少女は大人の女性へと近付いていくのでしょう。


作者の降る雨のような言葉は、心を揺さぶらせずにおられません。


そして最後の一行で、作者さんは少女の柔軟な心を現したように感じました。

どんな雨の日もいつかは上がり、鮮やかな虹がかかるような、思春期の明るさが詩に添えられているような気がします。


そう。

あの頃は通り雨のように、思いの外、あっさりと立ち上がれるだけの柔軟性があったものです。



少女が知ったのは、いつか本当の幸せにつながる1つのステップでありますように。

そして少女に優しくて、温かい雨が降りますように。




「雨に知る」

著者 木瓜

https://kakuyomu.jp/works/16817139554741568303/episodes/16817139554741786076

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