雨の日のドラム

 学校からの帰り道、雨に降られた小学生の「なつき」は、公園の大きなすべり台の下で雨宿りをします。


なかなか止みそうにない雨に、「なつき」は宿題のリコーダーをここで吹くことを思いつきます。

すると、あれれ?

不思議なことに頭の上から、トトン、タタンと「なつき」の吹くメロディにあわせて音がしはじめます。


「なつき」は滑り台の下にいるのですから、音の主は雨の中、滑り台のてっぺんで何かを叩いていることになります。


さて、さて、この音の主は誰でしょうか?


気をてらった捻りはなく、と言っても単調でも、ありきたりな平凡な話でもありません。


作者さんの語り口調は優しく、心にストレートに響いて、話が進むに連れて、知らない間に疲れた大人の心の中から、童心がひょこりと顔を出してきます。


トトン、タンタン

タンタン、タン


一緒に拍子をとりたくなってしまいます。


曲の名前が「ソラシドマーチ」というのも、ありそうでとてもいい(本当にある?)。


そう、幼い頃はこんな不思議なことが起こってもおかしくなかった。

いつも御伽噺の世界が隣り合わせで、何かの弾みで、あれれ?ということがあった気がする。


作者の語り口調が、私たちをあの頃に引き戻していきます。


トトン、タンタン


雨の中で、ソラシドマーチの合奏が続きます。


しかし、そんな雨も残念なことに上がっていぎす。


さぁ!雨の中でドラムを叩いていたのは誰でしょうか!


不思議で可愛い結末に、思わずほう!とため息がでてしまいます。


今夜はいい夢が見られそう。


著者 風梨 りん


「雨の日のドラム」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054903198390/episodes/1177354054903198613

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