第四百九話【『日韓友好』のコスパ論&タムパ論】
「『
(よく、造語を造る人だな、)と思ってしまうかたな(刀)。
「——唐突だが親中国派、親中派の事を『媚中派』ともいう。要するにこの〝ビ〟というのは『媚態』の〝ビ〟である。〝媚びを売る〟という意味である。若者に媚びを売る癖があるから『媚若者』だ」
(あぁ〜、じゃ〝びわか・もの〟じゃなくて、〝び・わかもの〟ってことなのか)と合点がいく。
「——『左翼・左派・リベラル勢力』曰く、『Z世代の若者は韓国のK—POPカルチャーに親しんでおり、今どき〝嫌韓〟などをしているのは中高年だ』。とまあこんな具合だ。多少表現がキツメになったのはこう言った方が解りやすいからだ。だが少しばかり表現をマイルドにしようと〝論理の骨格〟などはこんなものだ」
「——ちなみに『K—POPカルチャー』というのは〝韓国発の音楽・芸能人〟だと認識しておけばいい」
「——そこで、我々の側の陣営も〝今どきの若者の価値観〟に媚びを売っておこうと思う」
(あらら、若者に説教しないんだ、)と肩すかしを食ったかたな(刀)。この場にいる聴衆は高齢側に足を突っ込んでいる者が大半、なんとも微妙な空気となった。
「——今どきの若者の価値観は『コスパ』や『タムパ』というものであるらしい。かけた費用に見合うだけの効果があるか無いか? これが『コスパ』。かけた時間に見合うだけの効果があるか無いか? これが『タムパ』だ。要するに『僅かの損もしたくはない』、という考え方をするのだ」
「——結論から言う。〝日韓友好〟は『コスパ』も『タムパ』も最悪だ。これは『Z世代』とやらの価値観と完全に合致する」
「——具体的に指摘すると、既に述べてはいるが、1965年、日本は『日韓基本条約』及び『日韓請求権協定』を大韓民国との間で結び、『無償で3億ドル』『有償で2億ドル』、合わせて5億ドルもの資金提供を韓国などに
「——加えて、カネが動いていなくても〝日韓友好〟は我々日本人に計り知れない損を与えている。1993年8月4日、『長期政権与党・単独政権』が政権倒壊の僅か5日前に出した『慰安婦官房長官談話』に対し、なぜその当時に『選挙で負けた政権にそんな談話など出す資格は無い』といった非難が巻き起こらなかったのか? 『左翼・左派・リベラル勢力』が最盛期の時代だったという理由はもちろんあるが、この〝問題の談話〟を出したせいで〝日韓友好〟が成ってしまったため、誰もこれを叩く事ができなかったから、と考えられる」
「——ところが〝日韓友好〟には賞味期限がある。1993年の『慰安婦官房長官談話』がどれくらいの間〝日韓友好〟状態を保たせられる事ができたかというとそれは1998年までである。この談話は〝5年間で有効期限切れ〟と断定して差し支えない。と言うのも1998年には大韓民国政府が日本政府に対し『過去の植民地支配に対する謝罪を文書化しろ』という新たな要求を突きつけてきたからである。この時の日本政府は『長期政権与党』の総裁を首相とする連立政権であったが、この時もまた連中は韓国側の要求通りに行動し、『韓国に対する日本の過去の反省』が盛り込まれた〝初めての公式外交文書〟が生まれてしまったのである」
「——かくの如く、〝日韓友好〟なる価値観を目的とする『慰安婦官房長官談話』の有効期限は5年で終わったが、〝国際日本人差別〟という邪悪な価値観の有効期限は5年では終わりにならない。『慰安婦官房長官談話』の有効期限は永遠なのである。だから1999年にはアメリカ・カリフォルニア州議会で日本人という民族を攻撃する決議が採択されるし、2007年にはアメリカの連邦議会下院でも同様の決議が採択される。『アメリカがやったならそれは正しいんだ』として追従する外国の議会が西欧諸国を中心として次々現れる。こうした外国人どもが〝日本人という民族に対する攻撃〟を『差別ではない』という根拠にしているのが1993年、あの夏の『慰安婦官房長官談話』なのだ。選挙で国民から『No!』を突きつけられた『長期政権与党・単独政権』が政権倒壊の僅か5日前に出した『慰安婦官房長官談話』なのである。この結果起こった出来事は『費用』や『時間』どころの損ではない。『費用』や『時間』についての損は〝限られた損〟に過ぎないが、『慰安婦官房長官談話』は我々日本人にとって〝永遠の損〟である。〝日韓友好〟という、しょせんは
「——この現実を直視できない者どもが『Z世代の若者は韓国のK—POPカルチャーに親しんでおり、今どき〝嫌韓〟などをしているのは中高年だ』などと抜かす。しかしZ世代の価値基準と言われる〝露骨なまでの損得勘定〟を判断の基準とした場合、必然的に〝日韓友好〟という価値観は石ころのように蹴り飛ばされる。かけた労力の割に効果がほぼほぼゼロなのだからそれも当然と言えば当然だ。『日韓友好しない奴らは老害!』というキャンペーンなどまたたく間に行き詰まる。かくして『左翼・左派・リベラル勢力』の最後の切り札とも言える若者に媚びを売る〝日韓友好戦術〟はあえなく崩れ去る運命なのだ」
ここで仏暁、演台上のファイルをぱたりと閉じた。
「——以上で、〝特に韓国に絞った話〟は終わりとなる」そう言って仏暁は視線をそのリクエストをした人物、雨土に視線を向けた。
「これでご納得いただけましたか?」
雨土は僅かに腰を浮かしたが、
「ここまで言えるとは正直思っていませんでした。仏暁さん、感服しました」と返事した。
「それは何よりです。ではこれにて私の演説は——」まで仏暁が言いかけた時、一本手が挙がった。最前列からであった。手を挙げたは遠山公羽その人であった。
「仏暁君、長時間の演説、お疲れじゃろうが、儂からひとつだけいいか? なに、短くてよい」と、リクエストがその口から発せられていた。
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