第四百六話【1993年8の月、衆院選で「No!」を突きつけられた政権が『慰安婦談話』を出していた】

「今から私が喋るのは〝思想〟ではない」と仏曉が妙な事を喋り始めた。もちろんかたな(刀)始め、聴衆達も〝?〟である。

「——喋るのはであるが故に、いかなる思想の持ち主であろうとここから自由になる事はできないのだ」


「——1993年の衆院選で『長期政権与党』が過半数割れを起こし野党に転落した事は既に述べた通りだが、ここで重要なのは〝細かい時系列〟だ。『細かい時系列』とは〝年〟だけでなく〝何月何日か〟までを念頭に置くべし、という事だ」


 仏曉は例によって手元のファイルを繰る。


「——1993年の第40回衆議院選挙は、解散が6月18日、公示が7月4日、投票日が、投票率は67.26%であった。繰り返しになるが結果は『長期政権与党』が過半数確保に失敗し、これまた先ほど触れた通り、8党による連立政権が発足する」(https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/history/参照 『1993年』、で頁内検索)


「——ここで注目しなければならないのは『8党連立内閣』の発足日だ。それは1993年の事である」(https://www2.nhk.or.jp/archives/movies/?id=D0009030251_00000参照)


「——おかしな事だ。選挙結果はには出ているのに、新内閣の発足はその22日も後のとは。このぐずぐずとしたは大げさではなく我々日本国民・日本民族にとって大災厄となった」


「——この間に決定的な〝運命の日〟がある。それは1993年だ」


「——が、もはやなんの日か分からないという者が大半だろう。何しろ原爆投下の日でもない。だから私が言ってやる。それは『慰安婦官房長官談話』、正式名称『慰安婦関係調査結果発表に関する内閣官房長官談話』が、『長期政権与党』によって発表された日だ!」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html参照)

「——驚くべき事に、衆議院選挙で国民から『No!』を突きつけられた政権が、政権倒壊5日前に『慰安婦官房長官談話』を出していた! いったいヤツらは何の資格があってこんな事をしているのかっ⁉ しかもこの時『長期政権与党』は連立など組んではいないっ。。選挙で負けた腹いせに『長期政権与党』が我々国民に対し報復を実行に移したのである!」


「——ここまで言ってしまうと以下のような反撃を『長期政権与党』の支持者どもからぶつけられる可能性がある。即ち、『〝慰安婦官房長官談話〟はあくまで〝官房長官の談話〟であって、長期政権与党の内閣の意志ではない』と。その根拠は『慰安婦官房長官談話』は『戦後五十年談話』とは違い『閣議決定していないから』だ、と」


「——だが熱心な支持者達がいくらそう信じたくても、『長期政権与党』所属議員でもある、当の『問題の官房長官』本人が『官房長官が公式の記者会見で公式に発言していたら、内閣一体の原則じゃないが、それは内閣の意志として官房長官が言っているということになるでしょう』と喋っているのである。そして『長期政権与党』所属の国会議員からは『それは違う!』という声は聞こえてこないのである」


「——『それはどこからの情報だ?』と思われるかもしれない。実は衆議院は有力政治家に対し話を聞く形で口述記録を行っていて、『問題の官房長官』についても聞き取り調査を行い、それをサイト上で公開しているのだ。その中にこうした発言がある」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/03_04_jimintoufukutou.pdf/$File/03_04_jimintoufukutou.pdf・113頁参照)


「——しかし〝口述〟というのは口で喋っているだけあって、そこに『推敲』というものが無い。だから文章での表現よりもさらに〝その人間の性質〟、もっと露骨な表現をするなら〝〟というものが色濃くにじみ出てくるのだ」


「——『問題の官房長官』は『歴代最長政権の首相』についてこんな〝論評〟を喋っている。『一旦は否定しかけた』とまず言っておいてから『アメリカまで行って河野談話(慰安婦官房長官談話)のとおりですと言っているんです』と曰ってみせた」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/03_04_jimintoufukutou.pdf/$File/03_04_jimintoufukutou.pdf・113頁参照)


「——要するに『支持者達の前では威勢のいいことを言っていたが、アメリカ人の前ではシュンと温和しくなった』、と言っているのだ。まったくなんという人間性だろうか!」


「——そしてこの恐るべき人間性は我々日本国民に対しても容赦なく発揮されたのである。当然ながら慰安婦絡みであるが『問題の官房長官』はこんな事も喋っている。『もう記憶があいまいな部分はあっても、発言の内容は明らかに強制的にさせられてというふうに宮沢総理もとなった』、と」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/03_04_jimintoufukutou.pdf/$File/03_04_jimintoufukutou.pdf・113頁参照)


「——まったくとんでもない事だ。『心証』ということばの意味は『言葉や行動から心に受ける印象』でしかない! 現に『』というのは何だ⁉ 要するに〝〟だと自白しているではないか!」


「——しかし『心証』にはもう一つ別の意味がある。法学的意味の『心証』だ。訴訟事件の審理に於いて裁判官が得た事実の存否に関する認識や確信の事を『心証』という。だがこの『問題の官房長官』は政治家に過ぎない。公僕である。公衆に奉仕する者である。つまり我々に奉仕すべき立場の者が自分を裁判官と勘違いして我々国民を思い込みで裁いたのだ!」


「——しかもだ、この『四十年以上たって』とはどういう事だ⁉ 正に〝〟とはこの事である。『慰安婦官房長官談話』が発表されたのは1993年だ。その年を基準に四十年前ならそれは1953年ではないか! それは昭和二十八年、とっくに『日本軍』など無くなっていた頃だ! 朝鮮戦争の頃だ! ならこれは朝鮮戦争時の『米軍慰安婦』についての証言の線もある! 朝鮮戦争は1953年の7月に休戦なのだからな。最初の半年は戦争中だ!」


「——このように自由に喋らせておくと『ボロ』というものはいくらでも出てくるものだ。それはもう『自白』と表現する方が正確なくらいで『問題の官房長官』はこんな事も言っている。『ただ、具体的に連れてこいとか引っ張ってこいという、軍がそんな公式文書を残すわけがないよね。当時の内務省の事務官だった奥野誠亮さんが、終戦の日に軍の資料をいっぱい燃やして処分したとインタビューでも言っているとおりですよ』とな」(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/03_04_jimintoufukutou.pdf/$File/03_04_jimintoufukutou.pdf・113頁参照)


「——要するに『犯罪者が証拠を残す筈が無いから証拠が無くても罪に問える』とこの『問題の官房長官』は言っているのだ。『心証』を判決結果に反映させる事もできる裁判官にこんなデタラメな思考をする者はいない。そしてこの『問題の官房長官』は


「——そして『長期政権与党・単独政権』が政権倒壊の僅か5日前に出した『慰安婦官房長官談話』の結果、我々日本国民・日本民族に、外国人どもからどのような危害が加えられたかを紹介する。いかに『1993年8月4日』が我々にとって運命の日だったか解る。これはASH新聞始め『左翼・左派・リベラル勢力』にとっての戦果であった。その『戦果』については韓国人マスコミが得意げに語ってくれている」

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