第三百七十五話【2002ワールドカップ・韓国代表怪進撃!】

「——2002ワールドカップ本大会の韓国の1次リーグ、即ち予選リーグの組分けは、『ポーランド・アメリカ・ポルトガル』であった」仏曉の話しの中でいよいよワールドカップ共催大会は開幕した。


「——韓国の初戦は『ポーランド』。2–0で韓国代表がワールドカップで初勝利を上げる。この試合では特に黒い噂を聞かない。だから真に実力で勝ったのだろう。ここについては〝おめでとう〟、と言わねばなるまい」


「——韓国の第2戦は『アメリカ』。先制されたものの追いつく形での1–1での引き分け。形としては悪くない。ただ同点ゴールを決めた韓国選手のゴールパフォーマンスが多少の物議を醸したが、それは個人的なパフォーマンスに過ぎず、ゲームの流れを左右するものでもない。なのでことさらここでは大きくは触れない」


「——同様に一部の韓国代表サポーターが2002ワールドカップ本大会で起こした問題についても私は触れない。それはあくまで個々人の問題で組織的問題とは違う。サッカーのサポーターの中に一定の割合で〝ろくでもない者〟がいるのは残念ながら日常茶飯事で万国共通なのだ。それはこの日本の国内プロリーグでさえ例外ではない」


「——ここから私は象徴的なくらいに解りやすい事実のみを列挙していくだけだ。韓国にとって決勝トーナメントに出場できるかできないかが決まる運命の第3戦の相手は『ポルトガル』であった。韓国と同組の中では最もネームバリューが高い。つまりは最も強豪だ」


「——結果は1–0で韓国が勝利し、ワールドカップ初勝利を挙げた大会で初の決勝トーナメント進出も決めた。ただ、この試合から雲行きが怪しくなってくる。この韓国対ポルトガル戦では、ポルトガルの選手が退場処分となっている。1人くらいが退場になる試合は特段珍しくないが〝2人〟というのはかなり珍しい事だ」


「——また少しでもサッカー事情に通じている者なら『サッカー韓国代表』のイメージを訊かれた場合、『プレーが荒い』と答える事だろう。特に韓国代表は対日本代表戦となるとしゃかりきになるため、日本人ならよりいっそうこのイメージが強い筈だ。だから『あれ?』と思う」


「——『韓国VSポルトガル』で韓国の選手が2人退場処分になったのなら、である。が、このカードでポルトガル側が2人の退場者を出すなど実に奇妙極まりない。退場になるほどのプレーとはたいていの場合、『相手選手の突破を止めきれずについ、』というパターンが想起されるが、さて、2002年当時の韓国代表選手がそれほどポルトガル代表選手を圧倒していたのかどうか、」


「——とは言えこの試合が終わった時点での『あれ?』はそれほど大きくはなかったようだ。になるのは韓国代表の決勝トーナメントが始まってからである」


「——韓国の決勝トーナメント1回戦の相手は『イタリア』だった。この試合、〝いかにも韓国代表的展開〟で、選手同士の激しい当たりが非常に目立っていた。が、主審はこうしたプレーにイエローカードを出さずにそのまま流してプレー続行、というシーンが目立った」


「——ただ、サッカーには『ホーム・アドバンテージ』ということばが昔からある。〝ホームチームに対するジャッジメントは甘くなるもの〟という一種の暗黙の了解だ」


「——だが試合は徐々に『ホーム・アドバンテージ』から掛け離れた展開を辿っていく。イタリア代表MF『ダミアーノ・トンマージ』のゴールが取り消されノーゴールとなった。しかしこれはまだ序の口、」


「——決定的だったのはイタリア側に1人、退場選手が出た事だ」


「——先ほど言った通り、1人くらいの退場ならサッカーの試合では、。ただ問題は退場のいきさつとタイミングである」


「——1–1で迎えた延長前半にペナルティーエリア内でイタリア代表MF『フランチェスコ・トッティ』が倒された。『すわ! PKか』と思われた。案の定イエローカードが出た。が、主審がイエローカードを突きつけた相手は『フランチェスコ・トッティ』の方であった。故意に倒れたとして、いわゆる〝シミュレーション〟にされてしまった。この選手はこれ以前に既に1枚イエローカードを貰っていたため、1試合2枚目で退場処分となってしまった」


「——退場になってしまった『フランチェスコ・トッティ』という選手がいわゆる〝司令塔〟という攻撃の起点となる選手だったため、イタリアとしては得点パターンが消えてしまった事になる。そしてそればかりではなく『韓国VSイタリア』はとなり、韓国側は数的優位を得た。ヘトヘトに体力を消耗しているで、人数が1人少なくなってしまったというのはイタリア側としては相当こたえた事だろう。この点からもよりいっそう韓国が有利な展開となった」


「——こうして韓国はイタリアを押し始めていく。そして延長後半、遂に決勝点を挙げ、2–1で勝利を手にした」


「——そしてこの『韓国VSイタリア』では実にエポックメイキングな事態が起こっていた。今現在〝ネット動画〟は当たり前のように市民権を得ているが、この2002年こそがネット動画元年だと言える。と同時にテレビメディアが愛想をつかされ始めた元年とも言える」


「——或る有名な動画がある。私が2002年ワールドカップを題材に話しを始めた際、まず諸君らに紹介した『パオロ・マルディーニ』という選手に関しての動画である。この選手が韓国代表選手に頭を蹴られたシーンは絵的に実に解りやすく、『衝撃的動画』の格好の材料となった。なぜなら『マルディーニ』の頭を蹴った選手が退からである」


「——かくして件の動画はいくつかのバリエーションが造られ、〝2002年当時のネット上〟という条件付きながら世界的に拡散していく事になる。一方で日本国内のテレビメディアときたら韓国の勝利をただただ賞賛し続けていた」


「——韓国人という異民族の、実に韓国人らしいところは、あくまで不可解なジャッジメントを下したのは主審なのだから選手としての立場では永遠に黙っていればいいものを、ろくでもない本音をぼろりと公開してしまう点にある」


「——これは後日の事であるが『パオロ・マルディーニ』の頭を蹴った韓国代表選手は韓国メディア相手にこんな事を言っている。曰く、『フェアプレー精神を持っているなら相手をリスペクトする部分も必要なのですが、自分達のほうがサッカーが上手い、お前達は下手くそという態度が見られたんです』などと」


「——ここでこの韓国代表選手の言う〝リスペクトしなければならない相手〟とはむろん韓国代表の事であり、〝自分達〟と表現されているのはイタリア代表の事である」


「——この言い草、明らかに『フェア・プレー精神をイタリアは持っていなかった』と、確固たる意志を持ち言っている」


「——その上イタリア代表選手の口から『下手くそ』と言われたわけでもないのに、態度で自分が『そう感じた』などと言っている。この発言には間違いなく『』という意味も含まれている。韓国人という異民族には『〝差別された〟と言ってさえおけば相手よりも優位に立てる』と考える思考パターンがあるという事だ。これに新たな発見があるとするなら、『日本民族以外にも使う事があるんだ』という事になろうか」


「——そうした〝可哀想な私達〟という立ち位置を徹底的に貫けるのなら連中にまだ〝或る種の畏怖〟を感じる余地も無いこともないのだが、それができないのが韓国人なのである。この『パオロ・マルディーニ』の頭を蹴った韓国代表選手はやはり韓国メディア相手にその時の事を訊かれ、『あえて蹴ったのか、知らずに蹴ったのかという質問ですが、正直に言えば、あえてやりました。すでにこれは明かした事実ですが、あの時の状況を見ればボールがなかった。マルディーニが目を大きく見開いていた姿を今でも思い出します』などと言っている。もはや韓国人以外の者からしたら、


「——とは言えやらかした張本人のこうした証言はあくまで〝〟で、『韓国VSイタリア』が行われたばかりの頃、国際的には攻撃の的は『韓国代表選手のラフプレイ』よりも『審判のジャッジメント』の方だった。『審判員が韓国に買収されているのでは?』という疑惑こそが主流であったというわけだ」


「——そうした疑惑がくすぶり続ける中、韓国代表の決勝トーナメント2回戦は『韓国VSスペイン』となった。そしてこの試合によって〝審判買収疑惑〟は国際的に『疑惑』の段階を通り越し、〝ほとんど確定的〟となっていた。というのも、スペイン代表が2度ゴールネットを揺らしても、それが2度ともノーゴールになったからである。ひとつはゴールしたもののファウル判定でノーゴール。もうひとつはクロスからのゴールが直前にラインを割っていたとしてノーゴール。しかし当時VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は無かったが、何度スローが流れてもボールがラインを割っているようには見えない。こうしてスペインのゴールが認められなかった結果『韓国VSスペイン』はスコアレスドローとなり試合の決着はPK戦へ。そしてPK戦の末に韓国代表がスペイン代表を下してしまったからである」


「——かくして韓国は決勝トーナメント3回戦へと駒を進める。次なる対戦相手は『ドイツ』、『韓国VSドイツ』であった。もしこの試合に韓国が勝てばなんと、ワールドカップ決勝に韓国が残る事になる」


「——しかし、結論から言うと韓国の怪進撃、『怪しい』という方の字で表現する〝かいしんげき〟はこのドイツ戦で止まった。『韓国VSドイツ』は0–1で韓国が惜敗した」


「——世界は、——まぁそこからわけだが、『ようやくワールドカップがまともになった』という認識だった」


「——しかし私にはサッカー韓国代表の怪進撃が止まってさえ、この2002ワールドカップはとしか見えない。確かにこの大会でドイツ代表は韓国代表に勝った。しかし勝ってさえドイツは韓国によってダメージを負わされた。と言うのも、この勝利はからだ」

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