第三百三十四話【『性差問題』では珍しく論理的な、左翼・左派・リベラル勢力】
「『日本の男女間格差は隔絶している! 今こそ性差を無くさなくては!』。これが『ジェンダーフリー』であり、この語彙は『左翼・左派・リベラル勢力』の日本攻撃のための新たな手段と化している。これが〝美しいことば〟であるが故に、終始奴らの方が押し気味なのがこの現代なのだ」
かたな(刀)としてはなんとも複雑。『わたしが就職試験で全部落ちたのは女性差別のせいだ!』と言いたい気持ちも少しばかりあるが〝周囲の知人(全て女性)〟からは〝受かった話し〟しか聞いてなかったし、(ただ下を向いて黙り込むべき話題)と、そう思い込むしかなかった。その間もむろん仏暁の話しは川が流れる如く蕩々と続いている。
「——そして『ジェンダーフリー』という価値観は『LGBT』という価値観と非常に親和性が高い。これは当然と言えば当然で、『ジェンダーフリー』という価値観に賛同しながら『LGBT』という価値観に反意を示すのは明らかな論理的矛盾となるのだ。『男女に性差をつけてはならない』を金科玉条の価値観とする以上、〝男だから〟や〝女だから〟といった〝従来の役割分担〟も関係が無くなる。したがってその〝役割分担〟を放棄しているような存在、即ち『L』だとか『G』だとか『B』だとか『T』だとか、性を根拠としたあらゆる性差についてもフリーでなければならなくなるのは、正に理屈として筋が通っている」
「——そういう意味でいつもと違い、今回の『左翼・左派・リベラル勢力』の主張に論理的矛盾は無い。つまりこの場合の奴らの戦術は『LGBT』という価値観、即ち少数の被差別者を先兵として事態の突破を図る事である。これは『ジェンダーフリー』という価値観に批判的な勢力を悪玉化するための手段なのだ」
「——要するにこれはお馴染みだ。〝正義ポジション〟を確保した上で『世界の潮流から遅れた日本!』というイメージを国内外の社会に植え付けようとしている、と考えられる。これは『少数者を差別する日本!』という昔からの日本攻撃の伝統戦術と、昨今流行りの価値観をハイブリッドさせた〝発展系の日本攻撃戦術〟と言える。この戦術は功を奏し現に政府は『LGBT法』制定に前のめりとなり『男女に性差をつけてはならない』はさらに絶対正義化している」
「——こうした奴らのやり口にはもちろん人により好悪の感情はあるだろうが論理的矛盾が見当たらないのだから言論戦術としては悪くない」
(珍しい。敵にしている人たちを誉めるんだ)、とかたな(刀)。
「——ただこれは『奴らの戦術にも見るべきところがある』と言っているだけである」
(やっぱりそう来ますよねぇ)、とかたな(刀)。
「——だがこの今回の戦術は普段の『左翼・左派・リベラル勢力』の奴らの採る戦術とは明らかに違っている。奴らは普段から『論理的主張』そっちのけで『情緒的主張』をする扇動ばかりをしているからだ。具体的には『慰安婦問題』が有名例だ」
「——『おばあさんが、目の前の年老いた女性が、こんなにも悲惨な証言をしている。なのに日本は同情すらしないのか⁉』といった、こうした『情緒的主張』で攻めてくる戦術に敗れたのが日本である。『彼女達日本軍慰安婦は行為に対し、決して安くはない対価を得ていた』と、奴隷である事を否定する『論理的主張』を行う者達は政治的に敗北したのである」
「——だというのに、どうして今回『左翼・左派・リベラル勢力』の奴らは〝情緒〟を一顧だにしなかったのか?」
「——私が諸君らに何を問うているのか解るかね? 『論理的主張』と『情緒的主張』が対決した場合に〝どちらが勝つか?〟を訊いているのだ」
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