第5話 物語

 痩せっぽちの男と、黄金色こがねいろの髪の女は結ばれ、男児を為した。

 その子は、強靭だが引き締まった長身の体に、知性に溢れた瞳を備え、母親と同じ黄金色の髪を持っていた。


 時が経ち、両親が死んだ後、黄金色の髪の男は、一族を離れ旅をした。

 大地を巡り、氷河を渡り、行く先々で多くの者たちと出会った。

 黄金色の髪の男は、男からも、女からも、年寄からも、子どもからも、出会ったすべての人々から慕われた。


 黄金色の髪の男は、投槍器アストラルを皆に教えた。強靭な体から放たれる槍は、まるでいかづちのように獣を狩り、皆を驚かせた。


 黄金色の髪の男は、洞窟の壁に絵を描いた。動物を壁に閉じ込める男の技に、皆が息を呑んだ。


 黄金色の髪の男は、星空の下で笛をかなでた。夜のとばりに響く鳥の鳴き声に、皆が心を奪われた。


 やがて、すべての土地を巡った黄金色の髪の男は、とある豊かな土地に住み着いた。

 そして、大勢のものたちが男を追い、同じ土地に住み着いた。

 その土地では、人々が豊かに暮らし、長く栄えたという。



 ― 遠い昔、世界のどこかで、あったかもしれない物語 ―

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