第4話 空かける雷
幾度も季節が巡り、少年は大人になった。痩せっぽちの男に。少女も大人になった。しかし、肌は白く、髪の色は太陽の色のままだった。相変わらず、二人は別の一族から求められることはなかった。
ある日、いつものように、痩せっぽちの男が住んでいる洞窟を後にし、絵を描くために別の洞窟へと草原を歩いていた。
だが、この日は、いつもと違っていた。
痩せっぽちの男が歩く姿を、遠くから見つめているものがいた。男が歩くと、距離を開けずにそれも歩いた。男が止まると、それも止まった。
男が住んでいる洞窟から充分離れると、それは姿を現した。
悲鳴をあげて逃げる男に向かい、草原から飛び出した
死を目前とした男の目には、
絶叫をあげながら、黄金色の髪を振り乱し、槍を持った女が
しかし、一命をとりとめた痩せっぽちの男は、自分の力では敵わないと思ったか、女に協力することなく、一目散に洞窟へと逃げていく。一人残された女は、
かつて、
しかし、勇敢にも女の方から先に動き、
そして、獲物を奪われた憎しみからか、先程までの無表情とはうって変わり、目に凶暴な光が宿った。女に向かい、威嚇の唸り声を上げる。開いた口から除く舌は、あたかも舌なめずりをしているかのようだ。
じりじりと女に歩み寄る。
じりじりと女が後ずさる。
さらに女に歩み寄る。
さらに女が後ずさる。
女は、全身に毛を逆立て、たとえ敵わなかろうと、刺し違えてでも、一突きを食らわせようと覚悟を決める。
獣の跳躍に合わせ、自らも飛びかかろうと両足に力を込める。だが、一歩、左足を引いた時、ぬかるみに足をとられた。
鍛え上げられた女の体は踏みとどまったが、獣はその隙を逃さなかった。
獣が女に飛びかかる。
女が死を覚悟した瞬間、空から
獣の前に地面に、空から飛んできた槍が突き刺さる。
更に二撃、三撃。次々と、槍が空から獣に襲いかかる。
槍を投げているのは痩せっぽちの男だ。男は窪みの付いた棒に短い槍を乗せ、振りかぶった。棒の上に載せられた槍は、手投げの数倍の速さで空を飛び、どんな強靭な男でも飛ばせない距離を飛んだ。
後に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます