第百四十八回 その時! 勇気が僕に囁いた。
――でも、証拠がない。根拠もない。……ただ、
つまりは感、直感が働いた、それも女の勘。
そして何より、何よりも、しかと見ているのだ、ショーケースに飾られている僕と
言葉になる。
今を逃しちゃ駄目だと、そう思ったから、
「それね、僕も作ったの」と、声をかける。「
それは、初めての声。初めて聴く声……。
「僕はね、
と、僕は、声をかけたその先を、お話した。……それがどうしたの? 確かにそうかもしれないね、あくまでも僕だけの都合だから。……そうあってほしいとの僕の願望。それが胸いっぱいに膨らんだだけなの。迷惑だったのかな?
硬い表情。ただ、……瑞希先生に似ている。
年齢差のため、大人の瑞希先生。……それだけなの。でも、でもね、徐々にだけど、その硬い表情が綻ぶ。『やっぱりそうだったんだ』と、思わせるには十分なことだった。
「……あの子、元気にしてました?」
敬語に驚く、中学生の僕に対して。でも、初対面だから。無茶ぶりもあったから仕方ないよね? そう誰に言うのでもなく、自分に言って聞かせつつも、
「とても元気でしたよ。僕たちね、これから未来さんに会いに、この近くの喫茶店に行きますが、一緒にどうですか? 未来さん、きっと喜ぶと思いますよ」
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