第百四十七回 前回の模型屋のお話より、それは、


 ――バンプラ。


 三十センチほどの距離を置き、外から見る。


 ガラスケース……というべきなのか? やっぱりショーケースというべきだね。その一枚のガラス、強化ガラス? 或いはアクリル? ……まあ、そのようなものの向こう側にある。完成品の量産型、緑色の処を迷彩色にとオリジナル塗装を施してはいるが、宇宙服のような風貌。モノアイ、動力パイプ等の特徴は活かしてある。



 訊く処によると、


 初めて組み立てたプラモデルに似せたそうだ。


 それは、……それは母からの、最後のプレゼントになってしまったもの。母との思い出を綴るバンプラだ。その意義を込めて今度こそ、優勝の二文字を飾りたい。――僕にとってもリベンジ、未来みらいさんとの共同作業の第二弾だ! それが証拠に、その三十センチの巨体の足元には威風も堂々と、白色プレート。フルネームで『川合かわい未来&星野ほしの梨花りか』と記載されている。きっと何処か、遠くか近くか、



 ――未来さんのお母さん、このバンプラを見ているのかもしれない。


 すると気がつけば、気付いたなら……いつの間にか僕と可奈かなの傍ら、「ねえ梨花……」と、可奈が指でツンツンしたのなら、特徴……その人の特徴とは、白くて丸い顔、ぽっちゃり、――それだけなら何も、何処にでもいるでしょ、そんな人。……なら何でこんなに驚くのかな? あと髪型はショートボブ。合わせて思い出す、何よりも何よりも未来さんの言葉……そして思い出してほしい、あの日のマリさんの言葉を!


『未来さんのお母さんは、

 瑞希みずき先生に似ている――と』


 にしては、歳を取っている。……少々? 年齢的には四十代後半? 確かに似ているけど、つまりは……つまりはね、瑞希先生を大人にした感じだ。



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