第百三十四回 やっぱり和解に尽きる。


 ――夕映えが目に染みる時刻、僕はまた、ポロポロと涙を零していた。



 この部屋には一人、それは、

 僕の部屋には一人、僕だけがいる。ここはもう一人きりで泣ける場所となっていた。


 可奈かな千佳ちか、二人とも帰った。……ついさっき、


 ついさっきまで、ここにいた。千佳は、あまり長居すると僕がしんどいと思って、可奈を連れて帰ろうとしていたのだけど、僕が「帰っちゃやだ、まだいて」と言って、ついさっきまで引っ張ってしまった。……でももう、同じ泣き虫でも、泣き虫の種類が違うのだ。悲しい涙では、もうなくなっていて、心の汗へと変化を遂げたのだ。



 ――可奈も千佳も、僕にメッセージを残してくれた。



 まずは可奈から、


梨花りか、いい顔になってきたね。早く元気になって、もっともっとエッセイも、そして物語も書いて、……『梨花の書きたい物語』を楽しみにしてるからね。そのためにはね、感性が必要なの……ということで、またプラネタリウム行こうね」


 続いて千佳、


「可奈と同じで、僕も梨花のエッセイに励まされてたよ。今度は僕も、梨花を励ましてあげられるようなエッセイを書くからね、百合百合しく楽しみにしててよ。……未来みらいさんが言ってたよ、『またバンプラ一緒に作ろう』って。『梨花ちゃんと一緒にバンプラ作って楽しかった』とも言ってたよ。今度は僕も手伝ってあげるよ、可奈もだよね?」


 可奈は、……可奈はね、少し頬を赤らめて、


「うん……」と、笑顔も見せつつ返答をした。


 窓から、ベランダに向かうビッグなウィンドウから見える夕映え。風の種類や、これから季節が移り変わったとしても、僕はもう、……一人ぼっちじゃない。



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