第百三十三回 キスの三倍? それとも三乗?
――そんなことしちゃ駄目だよ、風邪うつっちゃうよ。
チュウ、キス、接吻……と、可奈の口づけはバージョンアップする。多分……だけど一回目の三倍と思われる。三乗までは、まだまだ至らずに、今日を迎えている。
これまでよりも……長いタイム。
自分のものとは思えない甘い声、
きっと、……きっとね、僕の女の子の声が漏れた時だ。――閉じていたはずの襖、
その襖、お部屋の襖が、物申す勢いで開かれた。
「――ずる~い! 何二人の世界を満喫してるの?」
と、一片の曇りもなくハッキリ響く
「ち、千佳、ありがと」
と、僕も変……やだっ、吐息交じりになっている。
「梨花、顔真っ赤だよ、それに何か……色っぽいし」
と、ストレート極まりない千佳の言葉。千佳らしいといえば千佳らしい。良き解釈をするのなら、千佳は千佳なりに、僕の体を心配してくれている。……それが証拠に、
「まだ寝てなきゃ駄目だよ、しんどかったら明日も休んでいいって
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