第百三十二回 ……あれ? 何てことなの?


 ――それは、今日初めて知ったこと。つまり初耳。


 可奈かなのお母さん、藤岡ふじおか智美ともみは、今はスパルタママという異名を持つ専業主婦だけど、十年前までは小学校の教諭だった。……そして僕のいう『な、何と』とは、……瑞希みずき先生が小学一、二年生の頃、その頃の担任の先生が星野ほしの智美。つまり旧姓が星野だから、……つまりは、現在は藤岡。またまたまたつまりは、可奈のお母さんということになる。



 可奈のお母さん、……瑞希先生の先生だった。


 そしてまた、瑞希先生のスパルタママ……ともいうが、瑞希先生のお母さんが、可奈のお母さんの先生でもあったけれど、可奈のお母さんのお兄さんの先生でもあった。


 そんな……

 そんな昔から、可奈と瑞希先生の繋がりがあったのか? 前回のお話からは、もう脱線も脱線だけれど、もういい! 今この瞬間、今この時はルーツについて述べよう!



 それは、可奈と僕の繋がりをも意味する。


 それは、お友達を超えて百合に達した程、親友以上の親友の関係に至る。と、その前に僕たちは、遠い親戚よりも距離を近付けて、従うという文字が付く姉妹の関係。もちろんお姉さんは可奈、しっかり者だから……って、あれ? 何てことなの?


 よりによって、


 可奈の誕生日を知らないし、血液型も……あっ、でもでも趣味は星、星座、宇宙について……だけれど、可奈のお家に一度もお伺いしたことがない。じゃあ、じゃあさ、僕よりお姉さんかどうかもわからない。もしかして、僕の方がお姉さん……なのかな?


 ――で、恐る恐る、自動的オートマチックな上目遣い……と、思われる。


「ちょっとちょっと梨花りか、それ反則でしょ? そんな顔されたら、ドキドキ止まんなくて我慢で解決できなくなっちゃって、アクションに移行するでしょ。……あなたみたいなのはね、可愛い妹でしかないんだから!」と、可奈は口塞ぐ。僕の唇を、唇で塞いだ。



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