第百二十八回 思えば、いつも君がいてくれた。


 ――それは、お友達という名の君。今もまた、ここにいる。いてくれる。



 前回とまたまた重複するかもしれないけれど、僕は今日、朝から体調が優れず……風邪のようで、何の因果か漢字は異なるけど、僕と同じ名前の授業時間の途中で倒れて、保健室に運ばれて……早退する運びとなった。


 少し眠ったから、

 ……元気が出ると思っていたけど、


「大丈夫?」と、お友達は問うけど、……グスッ、と、また泣きそうで、


「大丈夫じゃな~い」と、僕はそう答える。今いるこの場所は、書斎とは程遠く感じる僕のお部屋。上半身は起こしているものの、本来の元気とも程遠く感じられる僕だった。


 寝起き、パジャマ姿で、


 お布団の上……その傍らに、お友達は座る。女の子だけに女の子座り。僕とは何かと対照的な子。それが証拠に長い髪をポニーテールにしている。ボブの僕には決してできないことで、……それに、女の僕から見ても、とっても可愛い。これまでマジマジと、この子の顔をこんなにも近くで、こんなにもじっくり見たことがなかった。



 ――そして、その子は言う。再び、僕に声を投げかける。


梨花りか、何かあったの? 何か変よ、何かで悩んでない?」


「……そりゃ、人間だから悩みは尽きないよ。一般論だよ、一般論。それに、今日は風邪だから、ちょっとしんどいの……あっ、でも来てくれて、ありがとね、可奈かな


 そう。来てくれたお友達とは、可奈だった。

 ……ありがとう。と、その言葉を伝えたかったのだけど、


「そんなことじゃない! わたしがあなたに訊きたいのは」


「……可奈? 何怒ってるの?」と、少しびっくり、ジワッと潤む程度に涙。


「梨花、ちゃんと言って。本当に何があったの?」と、可奈は問い詰めるのだった。



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