第百二十二回 青き風景、十四日の土曜日の朝。


 ――嘘と思うなら見てごらんよ。


 この窓の向こう、そしてドアを開けて外の世界へ。



 温暖化の影響で、


 いつもは橙色のフィルターが覆ったような空の色だけど、この日は違った。……冷たいイメージをもたらすような青い色。すべてを薄っすらと染めていた。


 それが、十三日の金曜日が明けた、十四日の……。


 十四日の土曜日の色彩。そんな風景&空気の、午前十時。――僕らは集う。『最寄りの駅』という名の最寄りの駅、その前に於いて集まりて候。我ら三人……題すれば『星野ほしの三姉妹』と名乗る者なり。姓は星野、名は梨花りか。そして千佳ちか。更には藤岡ふじおか可奈かなと名乗る。


 で、それプラス……保護者。


 この度は、マリさんが選ばれた。瑞希みずき先生と未来みらいさんからお願いされた。――そう言っていた。それはそれは急なことで昨日の晩、僕らが未来さんのお家を後にしたのち、決められたそうだ。その場所は喫茶『海里マリン』……『海里かいり』と書いて『マリン』と呼ぶ。


 少しややこしいのだが、


 マリさんの本名は、海里かいり。――早坂はやさか海里かいりという。


 髪に輝くエンジェルリング、それに担って天使のような透明感ある微笑み。そしてヴォイス、そこからも発展を遂げて、シングシングシング! 美声がこだまする。



 ――お話が少しばかり飛んじゃったけど、


 此処はもう……ジャンプするカラオケ店。所謂ジャンカラなのだ。最寄りの駅から、もちろん電車に乗る。一駅だけど、僕らの住む場所より少々アーバン。されどアーバンテクノロジーを用いた輝くマシーン。この度はお世話になるカラオケマシーンだ。


 それでもって颯爽たる千佳。マリさんとデュエット、将又合唱かな? マイクが二本それぞれに。――以上、カントリーロードをミュージックスターティン!



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