第百二十一回 祭りのあとで……と思いきや、


 ――何を言っているのだ? まだまだこれからだぜ! と、より一層盛り上がる。


 今でも、今でも未来みらいさんの歓声が聞こえてきそうだ。



 時は、もう夜の帳。場所もすでに自称・書斎。……つまり僕の部屋だ。一応は、まだまだ駆け出し中の駆け出しだけど、こう見えても、書くと読むのカクヨム作家。PCの画面と睨めっこしながら、カタカタ、カタカタ……KBキーボードを連打連打! それで連想する事柄は……そうねえ、事柄はね、今日の格ゲー。瑞希みずき先生の連打連打! 繰り出す技。操るゲームキャラは、意外にも可愛い系ではなく迷彩の軍服を着たナイスガイ。眞空派、相手の攻撃を待ってからの夏潮蹴りサマーソルトが特徴。未来さんが操る鍵爪、三角飛びを得意とするスピード系の仮面の貴公子を意図も簡単に撃墜。――そして、そこに、そこにだ!


 その仮面の貴公子を上回る……、


 超が付くほどのスピード系が、画面変化とともに現れた。さらに、千佳ちかの個性が現れたかのような可愛い系。例えるなら……うむむ、例えるなら、恐れ多くも、これこそ瑞希先生のような丸っこいフォルム。……あっ、これ内緒内緒、知られたら裏モードの瑞希先生が発動してしまう。アワワ……。のちに興奮止まない千佳が、このキャラについて語るのだけど、最強キャラと言われているそうだ。特徴は温厚なWOPホワイトワンピースから狂気のROPレッドワンピースに変貌を遂げて、ジャックナイフやチェーンソーで攻撃してくる。



 ……この部屋の静かな時間に同調し、脳内で再現映像を鑑賞する千佳の二面性……あくまで想像の範囲だ。ゲーセンにはよく通っていたそうだ。……キム・ウメダさんと、あの高額チケットを売ったお金で。いじめっ子に付き合わされ、格ゲーの対戦相手をさせられていた。でも、圧勝。それがきっかけでゲーマーの道へ。


 でも、もう、


 いじめっ子と付き合うことはない。千佳の傍らに僕たちがいる。千佳はもう、これから描かれてゆく青春物語の、僕たちと同じ立派なレギュラーメンバーなのだから。



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