第百五回 じゃあ、深読みしてみる?


 ――その対象はMさん。もちろん瑞希みずき先生のことだ。



 お浚いする。ここから先は、思いっ切り個人情報なので、エッセイとは別の話になるけど、今後の展開では重要な部分になると思われるので、述べさせて頂くね。



 IMイニシャルエムさん。小説投稿サイト『書くと読む(この物語では、こちらが正式名称なので、改めさせて頂きました)』のエッセイ作家。五十五色のエピソードが特徴だ。……実は、これが作品のタイトル。本人曰く人生初の作品だそうだ。現在は二作目の投稿、本格派的な物語の連載を開始した。十万文字の長編を目指していると……言っていた。



 そのことを聞いた情報通な可奈かなは、

「Mさんに対抗して、梨花りかも物語書いたら?」と、言うのだ。


 ……言うのは易し、行動は難し。

 と、そう思うのだけど、もう口答え、または反論するもの面倒になって、


「う、うん……」

 と、如何にも空返事という感じに仕上がる。


 ――でも、それが、


 この後に、大きな問題へと発展することなど、思いもしなかった。……深読みするならば、多分だけど、毎年恒例のコンテストが行われる。そんな予定だ。令和初の年明け早々に、夏休みの宿題よりも、遥かに大変な課題に挑むこととなるだろう。


 ……まあ、それはそれとして、


 MさんのFNフルネームは、平田ひらた瑞希(二十九歳)。……あらら? よく考えたら、キム・ウメダさんと同い年。思えばキムさん、瑞希先生の顔を見るなり「懐かしい」……と、片言のジャパニーズ。ここにも、人違いでなかったら、『再会』という二文字が誕生する。


 しかし、申し訳ありませんけど、深読みの甲斐もなく、それは……人違いでした。



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