第九十七回 起きなさい! でも、二度寝しちゃうから。


 ――新学期。


 僕らにとって……いやいやいや、ジャパンの学校にとっては、イコール二学期。



 普通の学校なら二十六日から登校なのだけど、僕らの学園は、九月の二日からが新学期で、夏休み一週間もおまけ付き。……にも拘らず、最終日になると『昨日に戻らないかなあ』とか、『まだ休みたい』との、休暇の無縁ループを求めるようになっていた。


 そんな傍ら、

 言葉やエッセイを通して、千佳ちかにあれだけのことをしておきながら、


 その様な思いが、考えが、

 自分でもホント恥ずかしい。……きっと、幼児体型を見られるよりも遥かにだ。


 でもって何時しか眠りの中、もうピンクと言わなくてもわかるだろうカーテンの隙間から、光が差し込む。白い世界が部屋の中に広がる過程にありながらも、


 普通に二度寝、むにゃむにゃ……と。


 すると雷鳴? それと匹敵するような、「起きなさい!」との、ママの第一声。



 ――ここからが始まり。僕はもう、現実を受け止めた。


 その心のまま、


「行ってきます」と出陣。重厚感あふれるテーマ曲込み。……いやいやいやいや、


梨花りか、行きま~す!」と、声高らかに出発。……フム、やっぱりこっちだ。心に刻む軽快なリズム、ルンルン気分な登校。千佳が望んでいるのは後者の方、きっとそう。


 そして最寄りの駅へ、


「梨花、どうしたの? 新学期なのに『颯爽たるバンタム』の鼻歌込みで、メッチャご機嫌じゃん」と、可奈かな。……そんなに変? 僕の方こそ、プッと笑う。お腹抱えて、


「なにそれ? メッチャ、~じゃん? やっぱ変! 似合わな~い」


「二連発もディスる? 朝一にアニソンの鼻歌の方がよっぽど変!」




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