第九十六回 寝なさい! でも、その一言の前に一つだけ。


 ――いいかな?


 これより語ることはプライバシーに関わることだから、エッセイには載せないけど、

 それでも、伏線が存在する以上、

 ……この二人の関係を、明かさなければならないだろう。



 千佳ちかのお母さん、……僕と同じ名字だけど、旧姓の星野ほしの。だったら僕よりも、パパの方が遠い親戚に相応しい。フルネームなら、星野千尋ちひろ――と、いうことになる。それでもって関係するのは、つまり共通点は『星野旧一もとかず』という名前を知っている……ということ。


 プラモデルが大好きな、

 それもパンプラの大好きな、パパの遠い親戚のお兄さん。


 パパは、よくお話をしてくれた。……まだパパの膝の上に座っていた頃の、記憶にあるかないかの頃から。――だからなのかな? 僕もバンプラ大好き! 顔は写真でしか見たことはないけれど、僕が生まれるずっと前に、もうお亡くなりになっていた。


 ……享年十五歳。



 なら、千佳に対して、


 お母さんである千尋さんが、あんなに怒るのも無理はないと思う。……我が子が自殺未遂をしたのだから。――千尋さんは、旧一おじさんの妹だったのだ。


 そのためにも、


 千佳が笑って、通えるような学校の環境。僕たちも一緒に、心から笑顔になれる学校を作って行こうと心を決める。僕たちが、この学校というステージを変えるのだ。


 なら、このエッセイもまた『ザ・脚本』なのだ。


 余談だけれど、千尋さんは昔、幼稚園の先生をしていたことがあって、その頃の園児が瑞希みずき先生だった。……懐かしさを満喫だけれども、お互い「よくわかったね」だった。


 そしてついに、――「寝なさい!」と、ママの声が響いた。



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