第七十七回 ええっ!
――と、驚きのあまり声にもならず、胸の内に充満する悲鳴。
尚且つ涼しいのも通り越し、ブリザード! みたいに凍える。または凍り付く。
さっきまで、……いやいやいやいや、
本当に、コンマ何秒か前まで、確かに僕たちの目の前にいた。
夢現か朧気か、自らの頬を叩くとね、
やっぱり「痛~い!」と、そんな僕を見るなり、
「きっと、あの人は本物の
……
――それは、
「芭蕉さん、きっと
――そう、何があっても。
と、聞こえた。
千佳の語尾……そう聞こえたような気がする。
僕は、僕だけかな? この瞬間、束の間、または……いや、或いは自覚するには疑わしい、吐くほど気持ちの悪いレベルの胸騒ぎを感じた。――この後、あまり遠くもない未来で、千佳の身に起こること。……悲しいほどに僕たちは、知る由もなかった。
でも、
でも今は、温泉の入り口。……受付は、ちゃんと屋根付きで存在していた。
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