第七十三回 まるで林ではなく森、泉もコラボする。


 ――早速、気持ちいい!



 飛び込む、ちゃんと準備運動はした。瞬間、水の中の世界を堪能し、水飛沫を上げながら、顔を再び外の世界へと、まるで晒し首のように露出した。


 その表現とは裏腹に、

 空気は美味美味ウマウマ。進行する地球温暖化の最中、この場所はアドベンチャー映画にも出てきそうな風景で……または、ファンタジーでも通用しそうな、この情景。


 ――木漏れ日の下は、立派な避暑地。


 涼しい一時。いやいや快適だ。多分、例年よりも気温は低いと考えられる。温暖化さえなければ本年は、令和・・なだけに冷夏・・なのかもしれない。……そう思えるほどだ。



 エメラルド&ブルーなコラボ。

 混ざり合う素敵な彩り。その中を三人の妖精が戯れる、そんなイメージ。


「――ほんと、あなたって泳ぎだけは上手ね」


「だけじゃないよ」


「ふ~ん、否定するのね」


「駆けっこだって可奈かなに負けないよ、もう体育全般ね」


 それでも弾む声。愉快な水の音。

 それらが素敵なメロディーを奏でて、立派な癒し系となる。そして僕は水と戯れる。


梨花りか、マーメードみたいだね」

 と、千佳ちかは言う。あれから途切れない笑顔……。


 それも嬉しいが、――褒められるのはもっと嬉しい!


 ただ、「それにしても梨花、何でスク水なの? それも『星野ほしの』って、ゼッケンも目立っちゃって。せめて千佳みたいなフリル付きのピンクでも良かったのに……」と、可奈はブーブーと声立てる。……だって可奈みたいに、深紅のビキニは無理無理ムリムリだから。




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