第五十三回 お答えすると、九月からの転校生。
――それは
あの日の報連相の際に、
いやいや、それ以前に、
「あれれ?
という感じで、どうも僕のことを部員さんと思っていたらしい。それでもって僕は「部員じゃなく応援」と、言おうとしたら、
「もう部員みたいなもんじゃない。マリさんだって太鼓判押してるし、瑞希先生の中ではもう普通に部員だし、何よりももう学園の皆は、梨花のことを部員としか思ってないよ」
と、こんな時に限って可奈は口を挟んだ。――どっちの味方? ついこの間まで千佳ちゃんとは仲が悪かったのに、今は意気投合するくらいに仲良しになって……。
その心の言葉がはみ出しちゃったのか、或いは目が口よりお喋りだったのか、
「そりゃそうよ」
「一番のはまり役だから。梨花ちゃんネタで、僕たち飽きないから」
締めは可奈と千佳ちゃんの、完璧なまでに呼吸ピッタリな「ねー」の合唱だった。
僕に似すぎる千佳ちゃん……もうそろそろ『千佳』と呼ぼうと思う。
なら、僕のことも『梨花』と呼んでほしい。それが条件だ。――夏休み、今はまだ夏休み。僕たち三人、プールへと行く約束をした。遊園地でも思いっきり遊ぶ。……涙が出るくらい嬉しいことだった。初めてのお友達で、初めてお友達と一緒に遊ぶ。
千佳は『
可奈と同じくらいに大切なお友達。……あの時、僕だけに瑞希先生は告げた。
「生涯のお友達は、君にとってのかけがえのない宝なんだよ」って。……だからこそ今がある。異体同心の三人! 八月二十四日の本番を成功させようと決意に立った。
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