第三十五回 前回から、途切れず続く。


 ――従って前置きは省略。私立大和やまと中学・高等学園の繋がりから、海里かいりさんと未来みらいさんの担任だったことも、喫茶店『海里マリン』の店主の妹であることも、演劇部の顧問でもあることで四人目の写真、瑞希みずき先生。……旧姓は店主と同じく『北川きたがわ』で、今は、いやいや、僕が知っているのは『平田ひらた』という名字。平田瑞希(二十九歳)、よくよく存じている。



 だけど五人目、もう一人の従業員(二十九歳の男性)、……見たことがない。


 六人目は、六人目こそが、

 僕に似た女の子だという。遠巻きだとそう思う。星野ほしの刑事のスマホから見る写真。ズーム機能を用いたら、……用いたら、やっぱり違う。僕とは少ししか似ていない。


「……この子、もしかしたら」


 記憶の糸、今ここまで出てきて、「千佳ちか……ちゃん?」と、声にした。星野刑事は静かに、ミュートではなく囁くように、「星野千佳……僕にとっては、梨花りかちゃんと同じ姪っ子にあたる」……やっぱりだ。確信に変わったその時だ。――おおっ、氷山が解けるように謎が解けてスッキリ感! 星野刑事にも笑みが浮かぶ、そう見えた。



「ありがとう、梨花ちゃん! これで証言は取れたよ。この従業員は『キム・ウメダ』といって七月末に調書を取っていたのだけど、矛盾も多く、今一度調べ直してたんだ。これで、あと一人、証言が取れれば……」と、望月もちづき刑事もニタッとではなく、ぽっちゃりとした顔に可愛らしくニッコリしかけた所で、ほらほらほら! きっと、同じぽっちゃりでも鬼の形相。ズンズンと恐竜のように足音を響かせながら、来ちゃったよ。


ぜん! お前、うちの可愛い生徒に何してくれとんのや」

 と、口から火炎放射のような罵声をもって、Mさん……瑞希先生が現れた。


「おお、ミズッチ来てくれたな」


「ああ、来てやったぞ。仏の顔も三度だ。四度目はないからそのつもりでな」


 二人って一体? 裏の瑞希先生で、見てはいけないものを見てしまったような感じだ。



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