第三十四回 問われるその内容とは?


 ――前回と同じく此処。千里せんり府警の三階、生活課の一室。


 冷静になって辺りを見たら、……まず目の前には小太りでオタク系の刑事さん(これより以降は望月もちづき刑事と記する)、灰色の机を挟みNPCノートパソコンのキーボードをカタカタ弾き調書を作成。その後ろには、出入り口の傍らにはスマートで……元やんちゃをしていた面影を残し、車だけではなくパーマー系の髪まで茶色にしているもう一人の刑事さん(これより以降は星野ほしの……驚いた! 僕の名字と同じだ。同時に、パパと何か関係あるのでは? という直感も働いた。でも、後にパパが来たらわかることだよね? ちゃんとした自己紹介があって、星野善一ぜんいちといった。……まあまあまあ、いずれにしても星野刑事と記する)。



 この星野刑事が、ずっと僕のことを監視……あっ、いやいやいや、妹的な存在だからって温かい目で見守ってくれていたのだ。――良い方向に、楽観的ならその解答になる。


 このことをもって、警察の怖いイメージは崩れて、ようやく……長きに渡った鳥肌も治まった。頭がスケルトンなら、きっと精密回路を駆け巡るように、あらゆる色彩のLEDが点灯しているような、そのようなイメージだろう。……うん! 今なら大丈夫だよ。



 ――で、本題の問われるその内容とは何か?


 喫茶店『海里マリン』で、そこの店主が所属している劇団『山越座やまごえざ』の舞台チケットが『入手困難』を理由に、高額な闇価格で販売されているというタレコミがあったことが、事の発端となった。店内だけではなく夕方の駅前などでも、売り子が販売しているのだ。


 世の中には、自分と似た人間が三人いると云うが、

 その売り子、僕にそっくりだった。……あくまで写真。そう写真を見せられた。


 盗み撮りだった。――一人目は店主であり劇団の山越座に所属している北川きたがわみつる(三十一歳)、存じている。二人目はアルバイトで、私立大和やまと中学・高等学園の卒業生。僕との関係は演劇部の大先輩で、ザ・脚本で指導込みの手助けをしてくれた人……人たち。三人目も込みだ。――早坂はやさか海里かいり(十八歳の女性)、川合かわい未来みらい(十九歳の男性)、存じている。






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